入居前の状況
長年一人暮らしを続けていた母。少しずつ認知症の症状が見られるようになり、腰も90度近く曲がってしまっていたため、一人での生活に限界が近づいているのは誰の目にも明らかでした。
施設探しを始めたきっかけ
「施設に入るなんて、絶対にいや」。それが、施設への入居を打診したときの、母の最初の言葉でした。
それでも、住み慣れた家を離れることへの抵抗は、想像以上に強かったのです。本人の意思を無視して、無理やり話を進めて良いものだろうか。親を見捨てるようなことになってしまわないだろうか。そんな葛藤を抱えながら、私たちの施設探しは始まりました。
入居決断時の葛藤・罪悪感
最終的に、なんとか母を説得し、施設への入居が決まりました。しかし、入居日当日のことは今でも鮮明に覚えています。
施設まで一緒に付き添い、スタッフの方に引き継ぎを終え、私たちが帰ろうとしたとき。母の不安は頂点に達してしまったようでした。あとから施設の方に伺った話では、私たちが帰った後、母はひどいパニック状態に陥ってしまったそうです。
その話を聞いたときは、胸が張り裂けそうでした。やはり、無理やり連れてきてしまったのがいけなかったんだ。母に辛い思いをさせてしまった。そんな罪悪感でいっぱいになりました。
ですが、スタッフの方々が根気強く寄り添ってくださったおかげで、母は少しずつ落ち着きを取り戻していきました。あの時の施設の皆さんには、本当に感謝しかありません。
見学時の施設に対する不安
施設探しをしていた時、見学にもいくつか行きました。この施設に決めたのは、見学時の印象がとても良かったからです。
建物自体は、もしかしたら最新というわけではないのかもしれません。でも、館内は隅々まで掃除が行き届いていて、清潔感があり、嫌な臭いなども全く感じませんでした。
対応してくださったスタッフの方の説明も非常に丁寧で、こちらの質問にも一つひとつ分かりやすく答えてくれました。見学の段階で、施設に対して「汚いな」とか「ちょっと不安だな」と感じる点は、不思議なほど何もなかったんです。この時、「ここなら母を任せられるかもしれない」と直感的に感じたのを覚えています。