クレアトゥール６０
に91歳・男性・要介護3で入居していた方の退去理由インタビュー

父はもともと一人で暮らしていました。 父が少し入院し退院後、一人で自宅に戻すのは、食事のことなどを考えると少し手がかかるようになり、家族として心配になったため施設探しを始めました。

葛藤はありましたね。できれば自分の家に引き取ろうかなとか、色々と考えました。でも、ケアマネージャーさんに相談したら、「やっぱり在宅での介護は無理でしょう」ということだったので、それなら父が安心して暮らせる施設を探そう、と決心しました。

入居してみて、すぐに「話が違うな」「あれ？」と感じることになりました。最初は「いつでもどうぞ」と言われていた面会が、実際にはとても制約の厳しいものだったからです。

見学時には不安はなく、むしろ「ここにお願いしたい」と思える点がいくつもありました。 まず、案内してくださった方がすごい感じのいい方で、とても安心感がありました。お部屋も広々としていて、ここなら父も快適に過ごせるだろうと思えました。 そして何より、こちらの「親戚やひ孫がたくさんいるので、いつでもみんなで会えるようにしたい」という一番の希望に対して、「そうですね、いつでもどうぞ」みたいな感じだったんです。そのお返事もあって、ここなら良いかなと思いました。

一番の理由は、面会が聞いていた話と全く違ったことです。 親戚が多く、みんなで会いに来てくれるのを父も楽しみにしている、という話をした上で入居を決めたのですが、実際の面会は玄関先でたったの15分間。お部屋に家族が入ることはできませんでした。 さらに、面会の予約は1日に3組までと決められており、土日に予約を取るのはとても大変でした。やっと面会できても、「もう時間です、終わりですね」と、まだ父がそこにいるのに急かされるような雰囲気を感じることもあり、悲しい気持ちになりました。 施設側は感染対策を理由にされていましたが、一方で「どんどん外出や外泊をされたらどうですか？」と言われることもありました。「会いたいなら外泊で」と言われても、コロナなどの感染症のウイルスを持ち込むかもしれないのでと制限されてる面会なのに、なんだか話が違うかなと、どうしても矛盾を感じてしまいました。 施設長さんにも直接お話しし、面会のルールについて相談しましたが、改善は難しいとのことでした。これでは父の一番の楽しみを奪ってしまうと思い、「うちの考え方とちょっと違うので、ごめんなさい」という形で、入居から2ヶ月ほどで退去させていただきました。

見学の際に案内してくださったスタッフの方は本当に感じが良く、親身に話を聞いてくださいました。お部屋も広々としていて、父が快適に過ごせるだろうと思えた点は、この施設を選んだ大きな理由であり、良かった点でした。

この施設は「介護付き」だったので、必要なケアは基本的にすべて施設の中で対応していただけるという点は、とても安心感がありました。その介護体制自体には、特に不満はありませんでした。

入居前の説明で「いつでも大丈夫ですよ」と言われた時に、もっと具体的な条件を確認すべきだったと反省しています。面会の時間や場所、予約の有無まで聞いておけばよかったと思います。

施設の中の様子がもう少し分かると良かったなと思います。行事なども行われていたのか分からず、父がどんな風に過ごしているのかが見えづらく、少し心配でした。スタッフの方から日々の様子を教えてくれるような、オープンな雰囲気があれば良かったなと感じます。

この度は貴重なお話をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。お話を伺っている間、言葉を選びながらも率直に当時の心境を語ってくださる様子がとても印象的でした。 お父様に会いたい、ご家族に会わせてあげたいという気持ちと、施設のルールとの間で深く悩まれたお話から、実は施設ごとに大きく異なる「面会のルール」の重要性について、改めて深く考えるきっかけをいただきました。この体験談が、これから施設を選ぶ多くのご家族にとって、大切な視点の一つとなることを願っております。