入居前の状況
もともと、母は私と二人で暮らしていました。しかし、年齢を重ねるにつれて次第に歩くのが難しくなってきて、家の中でも転倒のリスクが日に日に高まっているのを感じていました。
施設探しを始めたきっかけ
このままではいつか大きな怪我につながってしまうかもしれない。そんな不安から、いよいよ本格的に施設の検討を始めなければ、と考えるようになりました。
入居決断時の葛藤・罪悪感
一番心を砕いたのは、母の気持ちです。施設に入るということは、長年住み慣れた家を離れるということ。そして、娘である私との暮らしが終わるということです。高齢の親にとって、施設に入ると聞けば「捨てられちゃうんじゃないか」という不安や寂しさを感じるのは、当然のことだと思います。だからこそ、私の考えを一方的に押し付けるのではなく、母自身が納得して次の生活に進めるように、とにかく時間をかけてコミュニケーションをとることを心掛けました。
「どうして施設に入らなければいけないの?」という母の問いに、私は何度も繰り返し、その理由を伝えました。
「一番は、お母さんの安全を考えてのことだよ。何かあってからでは遅いから、専門のスタッフさんがいる場所で、安心して暮らしてほしいんだ」。
私の思いや考えを丁寧に、根気強く伝え続けるうちに、母も少しずつ理解を示してくれるようになりました。そして、最終的には母自身の口から「そういうところに入った方がいいのかもね」という言葉が出たのです。その一言を聞いて、ようやく「じゃあ、一緒に見学に行ってみようか」と、次のステップに進むことができました。母が自らそう思ってくれるまで、決して急がせることはしませんでした。この対話の時間があったからこそ、入居の際に揉めるようなことは一切なく、スムーズに話を進めることができたのだと思います。
見学時の施設に対する不安
エースヒルズ小田原報徳さんに見学へ行く前に、一つ、私たちの心をぐっと掴む出来事がありました。なんと、施設の方が「一度お会いしたい」と、わざわざ私たちの自宅まで面談に来てくださったのです。
施設側としても、すでに入居されている方々との相性や、トラブルなく生活していただけるかといった点を事前に確認したいという意図があったようですが、この訪問が母の気持ちを前向きにする大きなきっかけとなりました。
見ず知らずの場所へ突然見学に行くのとは違い、先にスタッフの方と顔を合わせ、人柄に触れ、施設での生活について具体的に話を聞くことができた。この丁寧なプロセスが、母の「施設」に対する漠然とした不安を和らげてくれたのだと思います。「じゃあ、一度見てみようか」と、母が自然な流れで見学を決意できたのも、この事前面談のおかげです。
実際に施設へ見学に伺った際の第一印象も、「とても良かった」の一言に尽きます。こぢんまりとしていながらも、とても綺麗で落ち着いた雰囲気で、「ここなら穏やかに暮らせそうだ」と直感的に感じました。母も、事前にスタッフの方と話していた安心感もあってか、落ち着いて見学できている様子でした。