入居前の状況
それまで見守り付きの住宅にいた母が、施設で転倒し頭を強打してしまいました。診断は脳内血腫。コロナ禍の真っ只中だったこともあり、世間の状況もよく分からないまま、母はすぐに緊急入院となりました。
しかし、入院した病院では当時流行していたインフルエンザを理由に、面会が一切できませんでした。
母は認知症の症状があり、耳も非常に遠い。おそらく、自分がなぜ病院にいるのか、状況をちゃんと理解できないままだったと思います。説明してもすぐに忘れてしまうでしょうから…。
入院から3週間ほど、一度も見舞いに行けない日々が続きました。病院から時折連絡がありましたが、「ご飯を召し上がらない」とのこと。好き嫌いがあったのかもしれませんが、もし面会ができれば、何か口に合うものを作って持っていくこともできたのに…。
「自分はなんでこんな所にいるんだろう」。きっとそう思っていたはずです。おそらく身体を拘束された時間もあったと思います。そう思うと、本当に夜も眠れませんでした。
施設探しを始めたきっかけ
入院から1ヶ月ほど経った頃、急性期を過ぎたため転院の話が出ました。ですが、紹介される療養型の病院は、どこも「面会はできません」というところばかり。なので他に面会できるところはないのかと自分でも調べ始めました。
その頃には母は食事も摂れず点滴が始まり、痰の吸引も必要な状態になっていました。痰の吸引は素人にはできませんし、24時間付きっきりで在宅介護をするのも現実的ではありません。
どうすることもできず、面会ができない療養型病院への転院手続きを進めるしかないのか…と諦めかけていた、まさにその時でした。以前から相談していた担当者さんから、「こんな施設もありますよ」と一本の電話が入ったのです。それが、今回お世話になった施設さんでした。