憩いの里名張ケアホーム
に94歳・女性・要介護2で入居中の方へのインタビュー

もともと母は、大阪の実家で父と二人で暮らしていました。しかし、父が亡くなり、90歳を過ぎた母が一人になってしまったんです。東京に住む私の妹が、「私がお母さんの面倒を見る」と、そこから約1年半、東京から大阪の実家に単身で来て、母の介護をしてくれていました。とはいえ、妹にも東京に家庭がありますから、1ヶ月か2ヶ月に一度は東京に帰っていました。その間は、母にショートステイを利用してもらう、という生活を繰り返していました。

妹にも家庭の事情があり、これ以上母の面倒を見続けることが困難になりました。在宅での介護は、実際にやってみると本当に大変です。特にトイレの介助などは、積み重なってくると心身ともに疲弊してきます。妹も、介護疲れがあったのではないかと思います。「面倒を見る者がいなくなった」それが施設探しを始めた直接のきっかけでした。妹から「お兄ちゃんの方で施設を探してもらえないか」と相談を受け、私が主体となって施設探しを始めました。

正直なところ、私自身は母を施設に入れることに対して罪悪感のようなものは全くありませんでした。むしろ、「早く入ってもらえたら、こちらも安心できるな」という気持ちの方が強かったですね。 一方で、ずっと介護を続けてきた妹は、少し複雑な気持ちを抱えていたようです。もともと「自分が面倒を見る」という強い意志でやってくれていただけに、それができなくなってしまったことへの申し訳なさや心配があったのだと思います。「本当は自分が見てあげられたのに」という気持ちが、多少なりともあったのかもしれません。

施設の見学に行くにあたって一番気にしていたのは、「母が施設に馴染めるだろうか」「他の入居者の方や職員の方と、うまくやっていけるだろうか」という点でした。だからこそ、施設の設備や綺麗さよりも、職員の方々の応対や入居者さんとの接し方を何よりも重視して見ていました。

母は特に文句を言うこともなく、穏やかに過ごしています。面会に行くと、「ご飯がおいしいわ」と話してくれますし、その様子を見ていると、こちらも本当に安心します。 面会は予約制で、私たちは月に一度くらいのペースで面会に行っており、その際にトイレットペーパーなどの日用品を補充しています。もちろんおむつなど施設側に有料でお願いすることも可能で、「こちらでご用意しますか、お持ち込みされますか」と事前にきちんと確認してくれます。 また、施設での生活の様子を知る機会も多く、例えば、グループ内の全施設の様子をまとめた小冊子が毎月発行され、イベントを楽しむ母の姿を写真で見ることもできます。月に1〜2回は業者がワゴン車で訪問販売に来て、本人が希望すれば買い物ができるなど、施設内での楽しみもあるようです。

ご紹介いただいた施設は市内に2か所あったので両方とも見学したのですが、憩いの里に決めた一番の決め手は、職員さんたちの応対です。見学に伺った際、すれ違う職員の方々が、皆さんすぐに私たちに気づいて挨拶をしてくれるんです。それがとても印象的で、「ここは職員さんへの教育が本当に行き届いているな」と感じました。施設長さんの考え方や人柄にも共感できる部分が多く、ここなら母を任せられると思いました。

見学の際にすれ違うスタッフの方全員が気持ちよく挨拶をしてくださり、教育が行き届いていると感じたのが一番の決め手でした。 また、入居する際には、ただ空いている部屋を案内するのではなく、「お母様と年齢が近い方が多いフロアなので、お友達ができやすいかもしれません」と、母の入居後の生活まで考えてお部屋を提案してくれました。そうした細やかな心遣いに、家族としてとても安心感を覚えました。

母の体調に少しでも変化があった際は、都度お電話で報告と対応の確認をしてくれます。以前、母の便が少し緩くなった時があったのですが、その際も「便が緩いので、しばらく下痢止めのお薬を服用させてもらってもよろしいでしょうか」と、わざわざお電話で確認と報告をしてくれました。こちらから「最近どうですか？」と聞かなくても状況を知らせてくれるので、本当に安心してお任せできます。 また、月々の請求書には往診の結果などの詳細な書類も添付されており、どのようなケアをしてもらっているかが明確にわかるのも信頼できる点です。日中は看護師さんが常駐されており、面会時に直接母の健康状態について詳しく聞くことができるのも心強いです。

このグループの施設では、毎月イベントの様子などをまとめた小冊子が発行されます。その中には楽しそうに過ごしている母の写真が載っていることもあり、元気な姿を確認できるのが嬉しいです。その冊子を東京にいる妹に送ってあげると、とても喜んでくれます。直接会えなくても、母が楽しく過ごしている様子が伝わるので、妹にとっても大きな安心材料になっているようです。入居する前には知らなかった、嬉しいサービスですね。

大きな不満は本当にないのですが、敢えて挙げるとすれば、スタッフさんとの小さな連携ミスが過去に数回あったことくらいでしょうか。 一つは、冬に入居したのですが、夏になった頃に「夏物の服がないので持ってきてください」と連絡があったことです。しかし、実際には入居時に持参したタンスの中に入っていた、という確認不足がありました。もう一つは、お願いしていた目薬が切れていたことに気づくのが少し遅れてしまったことです。 また、最近は外国籍のヘルパーさんも増えてきているようで、言葉の細かいニュアンスや物の置き場所の伝達などで、ほんの少し気になることがあるかな、と感じる程度です。ただ、母自身は全く気にしていませんし、皆さん日本語で丁寧に対応してくださるので、介護サービスそのものに何ら問題はありません。

今回お話を伺ったご子息様は、非常に落ち着いた口調で、一つ一つの出来事を客観的に、そして丁寧にお話ししてくださいました。ご自身に罪悪感はなかったとしながらも、「早く安心したかった」という言葉の裏には、離れて暮らすお母様を常に案じてこられた深い愛情が感じられました。施設選びの決め手となった「スタッフの挨拶」というエピソードは、介護が「人と人との関わり」であることを改めて教えてくれます。こまめな連絡や写真付きの小冊子といった具体的な取り組みが、いかにご家族の安心に繋がるか、これから施設を探される方々にとって非常に参考になるお話だと感じました。