わじろの郷
に76歳・女性・要介護3で入居中の方へのインタビュー

入居する前は私の家で同居し、在宅介護をメインに生活していました。私自身、なるべく家で見てあげたいという気持ちがありましたし、母もデイサービスに行くのを少し嫌がるところがあったんです。

だんだんと寝たきりの状態が長くなり、座った状態を保つのもしんどそうな様子が見られるようになってきて…。そんな時に、立て続けに入院することになってしまって。 まず帯状疱疹で入院し、退院してすぐ、今度は熱中症でまた入院してしまったんです。幸い大事には至りませんでしたが、この入院で母の体力はすっかり落ちてしまい、歩行がだいぶ難しくなってしまいました。一番の問題は、自宅の階段です。母の部屋は2階にあったのですが、退院後の母の足腰では、もう階段を上り下りするのは物理的に不可能でした。「ああ、もう自宅での生活は難しいな…」。そう痛感し、本格的に施設を探し始めることになりました。

罪悪感はまあ、多少はありましたが…。 ただ、私たちの場合は、家が車椅子に対応した造りではなかったですし、在宅介護もできる限り続けてきた後だったので、「もう自分なりに精一杯やったかな」という気持ちも正直ありました。ですので、「仕方ないかな」と、ある意味で割り切って決断しました。 母は当時、すでに認知症がだいぶ進んでいました。デイサービスも嫌がっていましたから、きっと本心では施設に入るのも嫌だっただろうな、という思いはあります。ですが、安全な環境で暮らしてもらうためには必要な選択だと考え、施設探しを進めました。

母は認知症がだいぶ進んでいるので、施設のことを話してくれたり、レクリエーションでこういうことをしたよ、というようなやり取りは難しくなっています。暮らしぶりについて細かく話をしてくれるわけではありませんが、デイサービスの時よりも食事はよく食べるようになりました。これは本当にありがたいなと思っています。 そして、私自身の気持ちの変化は大きかったですね。家で見ていた頃は、お互いの生活リズムも違いますし、「気が付いたら何か起きてる」ということもあって、常に気を張っていなければならず、どうしても母とぶつかってしまうことがありました。でも今は、施設にお任せして、自分の都合で会いに行けるので、本当に穏やかな気持ちで母に接することができるようになりました。いい意味で、適切な距離感ができたんだと思います。

わじろの郷さんを見学した際、施設そのものについては特に不安はありませんでした。事前に説明を聞いていた通りだったので、がっかりするような点もなかったです。 施設自体への不安はなかったのですが、一つだけ、見学の時に駐車場のことが少し気になりました。駐車できる台数が少なく、縦列駐車だったんです。これから面会で通うことを考えると、少し大変そうだなとその時は思いました。 ただ、実際はその点は特に問題なく、母を車椅子で連れ出すとしても、車に乗せる時に困ることはなく今は通えています。

やはり、看護師さんとか、人がちゃんと接して見ていてくれる、という安心感が一番です。専門的な知識を持ったプロの方々にお任せできることで、私の精神的な負担も本当に軽くなりました。

母は車椅子での生活になるので、施設のハード面での安全性はとても重要でした。この施設は、段差がなく、十分な広さもあって、車椅子でも心配がないところがいいですね。自宅では何かと心配がありましたが、ここでは安心して過ごせる環境が整っています。

窓が大きくて、施設全体がとても明るい点が気に入っています。スペースに圧迫感がなく、開放的な気分で過ごせます。面会に訪れる私にとっても、この明るい雰囲気はとても気持ちが良いです。

最近、夜間の看護師さんがいなくなってしまったのが、少し気になっています。オンコールでの対応はしてくださるのですが、入居当初に聞いていたお話とは体制が変わってしまいました。今のところ母の体調は落ち着いているので、すぐに困ることはないと思いますが、少し心配な点ではありますね。

今回お話を伺ったご息女様は、冷静にお母様とご自身の状況を分析し、現実的な最善の選択をされてきた、とても落ち着いた印象の方でした。在宅介護を「やりきった」という言葉からは、深い愛情と、ご自身が介護に真摯に向き合ってきたことへの自負が感じられました。施設に入居したことで、お母様の安全な暮らしと、ご自身の心の平穏を両立できたというお話は、今まさに介護で悩んでいる多くの方にとって、一つの希望になるのではないでしょうか。「穏やかに接することができるようになった」という言葉の重みを、深く感じたインタビューでした。