チャーム奈良三郷
に85歳・男性・要介護2で入居していた方の退去理由インタビュー

もともと父は、大阪の八尾にある施設にお世話になっていました。しかし、私たちが住んでいる奈良の王寺町からは車で1時間ほどかかり、何かあった時にすぐに駆けつけるのが難しい状況でした。 父はパーキンソン病を患っており、腰も悪くしていました。自宅にいた頃は、夜中に「痛い、痛い」と言ってベッドから落ちてしまうこともあり、私たち家族だけでは十分な介護ができない状態でした。そんな中、やはり近くで見守りたいという思いが強くなり、自宅から通える範囲で新しい施設を探し始めたのがきっかけです。 ただ、今の施設は非常に人気で、すぐには入れませんでした。ネットの空き情報を見て連絡しても「現場ではまだ空いていません」と言われることもあり、結局入居できるまで半年から1年近く待ったと思います。 初めて見学に訪れた時のことはよく覚えています。食事をとるフロアがまるで旅館のような綺麗な雰囲気で、父も「これ、ええわ」と気に入った様子でした。腰が悪くなければ自宅で過ごさせてあげたかった、という気持ちはもちろんありましたが、父のこの一言と、私たちでは支えきれない身体の状況を考え、この施設にお願いすることを決めました。

入居後の父は、穏やかに過ごせていたように思います。施設が自宅から車で5分、歩いても10分ほどの距離になったことで、私も頻繁に顔を出すことができました。 何より良かったのは、施設のサポート体制が本当に手厚かったことです。父から聞く話や、施設に貼ってあったカレンダーを見ると、生活にハリが出るような取り組みがたくさんありました。 健康のための運動やリハビリはもちろん、カラオケ大会のような催し物も頻繁に開かれていたようです。お正月には巻き寿司、ひな祭りにはちらし寿司といった季節ごとの行事食も楽しみの一つだったと聞いています。父も「いろんな行事をやってくれる」と話しており、こうした刺激が本人の楽しみや、認知症の予防にも繋がっていたのではないかと感じています。 スタッフの方々の対応も素晴らしかったです。面会に行けば、マネージャーさんや看護師さん、介護士さんが丁寧に対応してくださり、父の様子を共有してくれました。薬の管理もきちんと仕分けして行ってくれていましたし、おむつの交換といったデリケートなケアも、父が男性だということで、男性スタッフが2人がかりで対応してくれるなど、細やかな配慮があったようです。これは家族として本当にありがたかったです。

入居してから1年経ったかどうか、という頃でした。ある夜中に施設から電話がありました。「お父様がベッドから落ちてしまい、体を痛めているようです」と。 もともと腰が悪く、自宅でもベッドから落ちることがあった父ですが、その時はかなり痛がっているとのことでした。私が「すぐには行けない」と伝えると、施設の方がすぐに救急車を呼んで対応してくれました。 そのまま病院に入院することになり、残念ながら、父が施設に戻ることはありませんでした。入院から約2ヶ月後、父は静かに息を引き取りました。88歳でした。 突然のことで悲しみはもちろん大きかったですが、施設に対しては感謝しかありません。何かあった時にすぐに家族へ連絡をくれ、私たちが駆けつけられない状況でも迅速に医療機関へ繋いでくれたこと。この一連の対応がなければ、もっと後悔が残っていたかもしれません。最期の時まで、プロの方々がすぐそばで支えてくれていたという事実は、私たち家族にとって大きな救いとなりました。

とにかく介護士さんや看護師さんが皆さん親切で、本当に良くしてくださいました。父は体が大きく、おむつ交換なども大変だったと思いますが、男性スタッフの方が2人体制で対応してくださるなど、入居者に寄り添ったケアをしてくれていたのが印象的です。薬の管理もしっかりしてくださり、安心してお任せできました。

父が最後に転倒した際、夜中にもかかわらずすぐに発見し、家族への連絡と救急車の要請を迅速に行ってくれました。私たち家族がすぐに駆けつけられない中、的確に医療に繋いでくれた対応は、本当に心強く、感謝しています。何かあった時の対応力は、施設を選ぶ上で非常に重要なポイントだと実感しました。

ほぼ毎日、何かしらのイベントが企画されていました。健康運動やカラオケ大会、季節の行事食など、内容は多岐にわたります。父も「いろんなことをしてくれる」と話していましたし、こうした取り組みが生活の楽しみや心身の活性化に繋がっていたのだと思います。入居者が飽きずに過ごせる工夫が随所に感じられました。

施設の近くに、父がかかりつけにしていた大きな病院がありました。通院の際も便利ですし、緊急時にもスムーズな連携が期待できるという点は、持病を持つ父にとって非常に良い環境だったと思います。

もう一つ、入居してから知ったことがあります。それは、部屋の向きによって料金が違うということです。 父の部屋は南向きで、窓からは大和川が見え、夏には花火も楽しめる最高のロケーションでした。ただ、その分、北側の山向きの部屋より2〜3万円ほど料金が高かったんです。 景色が良いのは素晴らしいことですが、そうした部屋ごとの特徴や料金の違いは、入居前に知りたかった情報の一つではあります。ちなみに、この施設は高台にあるため、大和川が氾濫した際の地域の避難場所にも指定されているそうです。

施設での生活には本当に満足していましたが、これから入居を検討される方のために、一つだけ気になった点をお伝えします。それは、インターネット上の空き室情報と、実際の現場の状況にタイムラグがあったことです。 私たちが探していた時も、ネットでは「空きあり」となっていても、直接問い合わせると「待機の方が多数いらっしゃいます」ということがありました。これは施設の系列が多いことなども関係しているのかもしれませんが、急いでいる方にとっては少し戸惑う部分かもしれません。こまめに確認するのが一番確実だと感じました。

今回は、お父様を施設で看取られたお客様にお話を伺いました。10年近く海外で暮らした後、日本に帰国してお父様の介護に直面されたお客様。施設での楽しそうなご様子のエピソードを話される時の穏やかな声色と、最後に倒れられた際のことをお話しされる時の感謝の言葉が非常に印象的でした。 「施設には本当に良くしてもらった」と何度も繰り返しながらも、入居待ちの情報のズレや、部屋の環境といった改善点についても率直に語ってくださり、これから施設を探す方にとって、非常に参考になるお話ばかりでした。お忙しい中、貴重な体験をお話しいただき、誠にありがとうございました。