入居前はどのような状況でしたか?
父が91歳、母が88歳になり、二人での自宅暮らしが少しずつ難しくなっていました。父は要支援認定、母は要介護2の認定を受けていました。特に母は物忘れが出始め、少し躁鬱の傾向も見られるようになり、これまで当たり前にできていた料理や掃除といった家事をしなくなってしまったのです。
父は糖尿病と高血圧の持病がありましたが、幸い杖もなく自分で歩ける状態でした。母も杖はほとんど使いませんが、やはり足元がおぼつかなくなってはいました。認知症という診断こそありませんでしたが、父も年齢相応に忘れっぽさはあり、私が見ていても、二人の生活には少しずつ手助けが必要になっていると感じていました。
私自身はまだ仕事をしており、弟も近くに住んではいるものの、毎日様子を見ることはできません。休みの日である土日に買い物に連れて行くのが精一杯で、平日は両親がスーパーで買ってきたもので食事を済ませるような生活でした。だんだんと会話も減っていき、親の顔をしっかり見てあげられていないな、という気持ちが常にどこかにありました。
施設探しを始めたきっかけは何ですか?
本格的に施設探しを始めたのは、母が家事を全くしなくなり、父の負担も大きくなっていると感じたからです。父も90歳を超え、車の運転もやめていました。私か弟が交代で買い物に連れて行くなどサポートをしていましたが、それだけでは日々の生活全般を支えるには限界があります。
このままでは二人の健康も心配ですし、なにより安全な暮らしができないのではないかという不安が大きくなりました。そこで、両親が二人一緒に、安心して暮らせる場所を探し始めました。夫婦二人で入れる部屋があることが、施設を探す上での絶対条件でした。
入居決断時に葛藤や罪悪感はありましたか?
施設に入ってもらうこと自体への大きな罪悪感というよりは、入居後の両親の関係性を少し心配していました。というのも、家での生活では、父が母のできなくなったことに対して、つい怒ってしまうような場面が増えていたからです。
正直なところ、施設ではいっそ別々の部屋にした方が、お互い穏やかに過ごせるのではないかとも考え、両親に提案もしてみました。しかし、やはり長年連れ添ってきたからか、不安もあったのか、二人の希望は「一緒の部屋がいい」というものでした。その希望は尊重したいものの、同じ部屋でまた諍いが起きないだろうか、という点が少し気掛かりではありました。
見学時、施設に対する不安はありましたか?
見学の際に、特に不安を感じることはありませんでした。むしろ、安心したことの方が大きかったです。
特に食事の面ですね。施設内に専用の厨房があり、料理人の方が毎日手作りで食事を提供してくださると伺いました。父は糖尿病なのでカロリー計算なども必要ですし、栄養バランスの取れたものを食べさせてあげたいとずっと思っていましたので。その点、きちんと体に気を配った料理を出していただけると聞いて、ここなら任せられると、正直ほっとしました。