高齢者の口腔ケア用品にはどんなものがある?最適な選び方も紹介

高齢者の口腔ケア用品にはどんなものがある?最適な選び方も紹介

家族の介護をしている方のなかには、歯磨きやうがいなどを介助している方も多いのではないでしょう。介助をする方の中には「口の乾燥がひどいけれど大丈夫かな?」「口臭やねばつきが気になるけれど、除去できるよい方法はないのかな?」など、疑問や悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

高齢者は唾液の分泌量が減少していくため、乾燥・ねばつきなどの口腔内トラブルが発生しやすいといった特徴があります。また歯周病やエナメル質の減退により、虫歯になる可能性も高いとされているのです。

そこで、大切になるのが「口腔ケア」です。口腔ケアを行う際には、症状や利用者の状況などを踏まえたケア用品の選択が重要となります。

この記事では、高齢者の口腔ケア用品の種類や選び方について解説します。口腔ケアの手順・注意点についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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高齢者の口腔ケア用品を準備する前の確認事項

高齢者の口腔ケア用品を準備する前に、高齢者が日常生活を送るうえで見られる特徴をみていきましょう。高齢者には、次に挙げる項目が多く見受けられます。

  • 食べこぼしがある
  • むせ込みやすい
  • うがいや歯磨きができない
  • 口が乾く
  • 義歯が合わない

上記はすべて、口腔機能低下の可能性が高いといわれているものです。そのため、要介護者に上記のような症状が見られたら口腔ケアを念入りにするのが大切です。

しかし口腔ケアとは何を指しているのか、口腔ケアは本当に重要なのか疑問を持つ方もいるかもしれません。ここでは、口腔ケアの概要や必要性について詳しく解説していきます。

口腔ケアとは何か

口腔ケアは、口腔内の清掃を行うことです。歯の有無にかかわらず入れ歯の清掃、口腔機能低下を予防するためのリハビリやマッサージも含みます。

口腔ケアには、大きく分けて次の2つの方法があります。

器質的口腔ケア 口の中をきれいに保つケア。歯磨きやうがい、義歯や舌の清掃を行う。
機能的口腔ケア 口腔機能の維持や回復を目指すケア。口まわりのマッサージや嚥下機能を鍛えるリハビリを行う。

器質的口腔ケアは、口の中を清潔に保つためのケアで口腔内トラブルの予防になります。機能的口腔ケアは「噛む」「飲み込む」「話す」など、口腔機能の維持・回復に役立ちます。

どちらも怠ると健康に影響を及ぼし、病気にかかる可能性が高くなるので注意が必要です。

口腔ケアの必要性

口腔ケアが必要な理由には、以下の3点が挙げられます。

  • 口腔内の清潔保持と口腔トラブルの予防
  • 咀嚼・嚥下・発音の口腔機能維持や向上
  • 誤嚥性肺炎や細菌感染の予防

上記の項目について、順に詳しく説明します。

口腔内の清潔保持と口腔トラブルの予防

口腔内の清掃で細菌や食べカスを除去するのは、口腔内の清潔保持につながります。歯周病による歯ぐきからの出血や炎症によって血中に歯周病菌が入り込むと、高血圧や心臓病などのリスクを高める動脈硬化につながるともいわれています。

しかし口腔ケアにて唾液の分泌量と自浄作用を促進できれば、口腔内の細菌や食べカスを除去して口腔内を清潔に保つことで、味覚・乾燥・口臭の改善や歯周病などの細菌が原因で起こる病気を防げます。

咀嚼・嚥下・発音の口腔機能維持や向上

口腔機能には、咀嚼・嚥下・発音の3つの機能があります。例えば「食べる」といった行動は食べ物を口の中に摂取して歯で嚙み砕き、舌と口腔内及び周辺の筋肉の働きによって咽頭へ送られたあと、食道を経て胃に到達していきます。

つまり「食べる」とは、咀嚼機能と嚥下機能の働きによって行われているのです。

また、「話す」といった行為も口腔内及び口腔周辺の筋肉と舌・唇・口蓋の働きによって行われています。

口腔ケアは「食べる」「話す」など、口や舌の口腔機能の維持や向上にもつながるとされています。そのため、毎日の口腔ケアを丁寧に行えば長い間本人の食事の楽しみをなくすことなく、かつ話しづらさの改善や生活の質(QOL)向上を期待できるでしょう。

誤嚥性肺炎や細菌感染の予防

口腔ケアは、高齢者の死亡原因に挙げられることの多い「誤嚥性肺炎」の予防にも効果的とされています。誤嚥性肺炎とは、唾液や食べ物などと一緒に細菌を気道内に取り込むことで起こる肺炎です。

特に嚥下機能が低下している寝たきりの状態の高齢者に多いとされています。

しかしこの誤嚥性肺炎も口腔ケアを十分に行えば、予防することが可能です。誤嚥性肺炎以外にも、脳梗塞などの原因となる歯周病になるリスクの低減に役立てられます。

 

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【高齢者口腔ケア用品】種類別の用途と選び方

では次に、口腔ケアを行う際に使用する口腔ケア用品はどんなものがよいのかをみていきましょう。口腔ケア用品には歯ブラシなどの歯を磨くためのものだけでなく、口腔内を保湿したり舌の汚れを取り除いたりするものなどさまざまな種類があります。

本人の全身状態並びに口腔内や嚥下能力によって適切なケア用品や方法が異なっており、本人の口腔状態に変化があればその都度口腔ケア用品を変更するのも大切です。

そのため、高齢者の口腔ケアに使用する物品の選択には、日々本人の口腔状態を観察するのが大切となります。ここでは、口腔ケアに用いられる物品の特徴と選び方を紹介します。以下で紹介する内容を参考に、高齢者本人に適した物品選びをしてみましょう。

歯ブラシ

歯ブラシは、歯の汚れを落とすためのブラシです。一度に歯2本分程度を磨ける小さめのヘッドで、毛並みが柔らかいものを選びましょう。

また、毛束は少なめのもので持ち手は持ちやすいストレートタイプがよいです。ブラシの毛先が広がってきたら交換の目安となるので、ブラシの状態を見て適切な時期に交換を行いましょう。

歯間ブラシ

歯間ブラシは歯と歯の間を磨くブラシで、歯ブラシでは取るのが難しい汚れを取るための補助的な用具となっています。そのため、歯ブラシの補助として1本持っておくとよいでしょう。

歯間ブラシを使用する際には、歯ぐきを傷つけないようにゆっくりと歯と歯の間に差し込むとよいです。すき間が広い場合には、歯間ブラシの角度を調節しながら動かすと効果的に使用できます。

歯と歯の間のすき間の幅は人それぞれなので、本人に合ったサイズの歯間ブラシを選ぶようにしましょう。

球形ブラシ

球形ブラシは、頬や唇の内側、上あごの粘膜など口腔粘膜の清掃に利用できるブラシです。粘膜に付着している痰や唾液、食べかすなどの汚れの除去に役立ちます。

球形ブラシは、特に寝たきり状態が長い方や胃ろうで経口摂取の機会が少ない方などに使用するのが適しています。使用する際には一度水で濡らしてから、粘膜にブラシを軽く押し当て汚れを絡めとるように上下左右に動かすとよいです。

口の奥に唾液・痰が絡まっているときにも、奥から手前へと巻きつけるように動かすことで除去できます。

舌ブラシ

舌ブラシは、舌の汚れを取り除くためのブラシです。通常、舌はうすいピンク色をしていて潤いがありますが、高齢者の中には舌が白っぽくなっている方もいるでしょう。これは、舌の表面に食べカスや剥がれた粘膜・細菌などの汚れが固まってできた「舌苔(ぜったい)」によるものです。

舌苔は口臭の原因になるだけでなく、細菌の誤嚥による誤嚥性肺炎につながる可能性もあります。そのため、舌苔の除去はとても重要です。ただ、舌はデリケートな粘膜であるため強い力を加えると傷ついてしまいます。そのため、歯ブラシではなく舌ブラシを使うのがよいです。

舌ブラシの中にもさまざまな種類がありますが、舌の表面をできる限り傷つけないためにブラシの部分は柔らかくしなやかなものを選ぶとよいでしょう。また、奥にある汚れまで取り除けるように長めのタイプを選ぶのが最適です。使用する際には一度にすべて取り切ろうとせず、保湿をしながらやさしく行っていきましょう。

スポンジブラシ

スポンジブラシは、歯や粘膜の汚れを拭き取るための使い捨てのブラシで棒の先にスポンジが付いています。主に介助用に使用する場合が多く、自分で歯磨きができない方に適しています

スポンジブラシの形状はさまざまで、硬さや大きさ・形・軸の素材に違いがあります。粘膜が弱っている方には柔らかいスポンジのものを使用し、口が開きづらい方には小さめのサイズを選ぶとよいでしょう。

口腔ケアシート

口腔ケアシートは、口の中を拭くためのウェットティッシュです。シートを指に巻いて口腔内の汚れを拭き取るのに使用します。

口腔ケアシートは、うがいができない方やむせやすい方、嚥下障害がある方に最適です。

なおシートの種類としては、消毒効果が高いアルコールタイプや保湿に優れたノンアルコールなどいくつかの種類があります。乾燥が気になる方には、ノンアルコールタイプの柔らかいシートを使用するのが最適です。

口腔用ジェル

口腔用ジェルは、口の中を保湿するのに使用するものです。乾燥やねばつきによる口臭改善に役立つもので、スポンジブラシや口腔ケアシートと併用するとより効果が期待できます。

口腔ケア綿棒

口腔ケア綿棒は、口の中をやさしく清掃できるものです。うがいができない方やむせやすい方に最適とされています。綿棒は、凸凹の形状で型崩れしにくいものを選ぶとよいでしょう。また、水に強くしなやかなものにすると軸が折れにくく最適です。

マウスウォッシュ

マウスウォッシュはうがい薬・口内洗浄剤と呼ばれるもので、口内に細菌が再付着するのを防ぐのに効果的とされています。

歯ブラシや舌ブラシなどほかの口腔ケア用品にて一通り口腔内の清掃を終わらせたあと、仕上げに使用するとよいでしょう。

なお、嚥下機能に問題のある方やうがいが困難な方は誤嚥のリスクがあるので使用しないようにしてください。

口腔用スプレー

口腔用スプレーは、口腔内の乾燥や口臭を手軽にケアしたい場合に効果的です。口腔内が乾燥していると、ケアの際に出血しやすいです。出血してしまうと痛みが生じるために口腔ケアの拒否につながるうえに、感染の危険もあります。

口の中にスプレーを数回噴射すれば、口腔内がすぐにうるおうので水道が近くにない部屋でも手軽に乾燥ケアができます。

 

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高齢者の口腔ケアを介助する際の正しい手順と注意点

口腔ケアの必要性や最適なケア用品はわかっても、正しい手順で実施できなければ効果を実感できないでしょう。ここからは、口腔ケアを行う際に必要な手順や注意点について紹介します。

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手順

まずは、口腔ケアに必要な物品を紹介します。

  • 使用する口腔ケア用品(歯ブラシやスポンジブラシなど)
  • コップ
  • うがい後の水を吐き出すための容器(ガーグルベーズンや洗面器)
  • 手袋
  • エプロン

使用する口腔ケア用品は、前項で紹介した内容をもとに本人に合った種類を使うとよいでしょう。次に、基本的な口腔ケアの手順を紹介します。

  1. うがい
  2. 歯の清掃
  3. 歯の清拭
  4. 舌苔の除去
  5. うがい

うがいができる方は、まずうがいをして口腔内に残る食べカスなどを洗い流すとよいです。うがいが困難な場合は、スポンジブラシなどを使用して口腔内を湿らせてあげましょう。

次に、歯ブラシや歯間ブラシなどを用いて歯の清掃を行います。ブラシ類の使用が困難な方には、口腔ケアシートやジェルを用いるとよいです。

歯の清掃が終了したら、舌のケアに移ります。舌ブラシを用いて、力を入れ過ぎずに優しく奥から手前に動かして汚れを落としていきましょう。

舌の清掃まで終了したら、うがいができる方はうがいをして口腔内の汚れを吐き出してもらいます。うがいが困難な場合には、湿らせたスポンジブラシや口腔ケア綿棒などを使用して、口腔内を一通りふき取るようにしてあげましょう。

注意点

高齢者の口腔ケアを行う際には、以下の点に注意が必要です。

上半身の角度

ベッド上で口腔ケアを行う際、身体を横にしたままの状態では唾液や薬剤などを誤嚥してしまう可能性があります。そのため、上半身が起き上がるようにベッドをギャッチアップさせましょう。

ギャッチアップしたら、姿勢が安定するように背もたれの部分にタオルや枕を入れるとよいです。

あごの角度

口腔ケアの際、あごの角度にも注意が必要です。口腔内をよく見ようとあごが上がる形を取ってしまうと、唾液や薬剤を誤嚥してしまうリスクが高まってしまいます。

そのため、あごを引いた状態になっているかどうか適宜確認しながらケアを行うのが大切です。

両足が床についているか

椅子や車いすに座っている場合、両足が床についていないと姿勢が安定しません。姿勢が安定するように、両足が床につく高さに調節しましょう。

適切な声掛け

認知症の方や拒否がある方には、口腔ケアをする際に適切な声掛けが必要です。

事前に口腔ケアの手順を説明したり、手順ごとに説明したりするなどして本人の不安や悩みを解消できるよう声かけを行っていきましょう。

高齢者口腔ケア用品で身体の健康と口腔機能を維持しよう

高齢者の口腔ケア用品は、さまざまな企業から数多くの商品が販売されています。ケアが必要な高齢者の日常生活を観察して問題点を探ったうえで、全身状態や口腔内の状態に合ったものを選びましょう。

口腔内を清潔に保つと、あらゆる感染症の予防や死亡リスクの高い誤嚥性肺炎の予防も可能になります。

また、味覚や会話に重要な発音の改善にも役立つため生活の質の向上も期待できます。最適なケア用品で口腔ケアを行い、本人ができる限り元気に過ごせるようにしましょう。


口腔ケア用品にはどんなものがある?
歯ブラシや歯間ブラシ、球形ブラシなどさまざまなものがあります。記事内では10種類の口腔ケア用品やその使い方、口腔ケアの手順を紹介しているので参考にしてみてください。

口腔ケアはどうやって行うの?
うがい→歯の清掃→歯の清拭→舌苔の除去→うがいの順番で行われます。記事内ではでは口腔ケアの手順を詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
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