現代では自宅や病院以外に介護施設でお看取りをすることも増えてきています。実際に大切な人のお看取りに思いめぐらし、悩んでいらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「どこで最期を迎えるのがいいのかしら……。」「どんな流れで進むの?」と悩む方々のために、今回はグループホームでの看取りに焦点を当てて解説していきます。ほかの施設との違いや、グループホームを選ぶメリット・デメリットも説明するので、ぜひ参考にしてください。
グループホームで看取り可能な施設は約半数
実は、グループホームでは看取りを行うことが可能です。ただし看取りを行っていないグループホームもあるため、施設選びが重要です。
そもそも看取りとはどのようなものでしょうか?
看取りとは、「終末期と判断された方に精神的・身体的苦痛のともなう無理な延命治療などは行わず、自然に亡くなられるまでの過程を見守る行為」 を意味します。
近年では終末期においても人生の質(QOL)を高める観点から、回復の見込みがない方については、過度の積極的な医療を行わず、その残りの人生を充実したものにするため、緩和ケアなど看取りのありかたが考えられるようになってきました。
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グループホーム以外でも看取りはできる?
看取りを、最期を迎える場所で分類すると、ご自宅、病院や老人保健施設などの医療機関、老人ホームなどの介護施設の3つに分けることができます。グループホームは介護施設にあたります。
- 在宅
- 医療機関
- 介護施設
上記、3種類で看取りを行えます。グループホームは介護施設にあたります。
厚生労働省が発表しているデータによると、平成29年度の統計では、日本人の死亡場所は病院が77%、介護保険施設・老人ホームが9%、自宅が13%となっています。ほとんどの方が病院で最期を迎えていますが、介護施設の割合は年々増加しており、今後も増え続けると予想されます。
参照元:平成29年度『厚生労働省【テーマ1】看取り 参考資料』
在宅での看取りは現代では少数派
50年ほど前は自宅で最期を過ごす方が多くいました。しかし、現代では少数派となっています。
そんな現実とは裏腹に、自宅で過ごしたいと希望される方は非常に多いです。厚生労働省の調査では、「終末期の療養場所はどこがいいか」との質問に対し、1割の方が「最期まで自宅で過ごしたい」、6割の方が「必要であれば医療機関を利用したいが、自宅で過ごしたい」と答えています。計7割の方が自宅で過ごしたいと希望しているのです。(※参照元:平成29年度『厚生労働省【テーマ1】看取り 参考資料』 )
そんな希望に応えるべく、2012年から2015年に、在宅で看取る体制が整えられ始めました。しかし、ご家族の負担が大きく、医療や介護サービスの地域差も激しいため、なかなか在宅での看取りを実行できずにいる方も多いです。
それでも、在宅での看取りを希望する場合は、対応してくれるケアマネージャーや在宅医療に対応している医療機関を探してみましょう。地域包括支援センターに相談すると、ケアマネージャーや対応した医療機関を紹介してもらえます。
在宅での看取りでは、事前の覚悟と外部サービスに頼る柔軟性が必要です。自身の体と心を労りながら、ご本人との時間を大切にしていきましょう。
約8割の方が医療機関で最期を迎える
日本では約8割の方が病院で亡くなっています。オランダでは約4割、フランスは約6割と、日本は世界的に見ても、病院で亡くなる人数が多い国です。(※参照元:平成29年度『厚生労働省【テーマ1】看取り 参考資料』)
医療機関で終末期を迎えるの最大のメリットは、その高度な医療体制です。。常時、医師による高度な医療処置が必要であると医師に判断された方は、病院に入院する場合が多いです。
病院も入院できる状態や期間によってさまざまな種類がありますが、看取りを行う病院は「療養型病院」と呼ばれます。病状が慢性期になった方、治療よりも長期にわたる介護が必要な方が入院できる病院です。
そのような療養型病院では、終末期になると、医療によって症状を緩和させながら余生を過ごす「ターミナルケア」や「緩和ケア」と言われるケアを受けられることができます。
高度な医療行為が常態化していたり、一般的な痛み止めでは効果が薄かったりする場合、病院での看取りは安心して大切な家族を任せられる選択肢といえるでしょう。
そのほか医療行為が可能な施設として老健(介護老人保健施設)がありますが、あくまで在宅復帰を行う方のための施設です看取りは可能ですが、退所を前提としているため注意しましょう。
介護施設での看取りが増えてきている
超高齢化社会にともない、看取りのニーズは高まり続けています。医療現場では入院ベッド数の不足も懸念されるほどです。そこで国は2006年より介護施設による看取りが制度化し、病院に変わる受け皿として以下の施設で看取りを支援することになりました
- 特別養護老人ホーム
- 老人保健施設
- グループホーム
- 有料老人ホーム
制度が整ってからもさらに、年々、介護施設で看取りを行う方が増え続けています。病院とは違い、介護施設では生活の中でのお看取りが中心です。
高度な医療行為は困難ですが、提携医療機関や在宅医、施設内の看護師や訪問看護との連携により、看取りに必要な医療体制を整えることができます。
実は、最期が近づくにつれて、医療よりも介護の役割が増します。これも、介護施設での看取りが増加している一因といえるでしょう。
要介護度が重くても高度な医療行為を必要としない方や、既に入所している方は介護施設で看取る場合が多いです。
グループホームで看取るメリット
看取りはさまざまな施設で行われています。その中でも、グループホームでの看取りは、既に入所している方に大きなメリットがあります。グループホームのどんなところがよいのか、主なメリットを2つ、確認していきましょう。
環境を変えずに支援できる
グループホームに入所できるのは認知症の方のみとなっています。認知症の方は環境の変化に大きく影響を受けてしまいます。
認知症の症状により、今どこにいるのか、何のためにいるのかが分からなくなってしまい、パニックを起こしてしまいます。そのため、病院でも認知症の方の対応は難しいケースもあるのです。
精神的にも身体的にも不安定な時期に、職員や同じ入居者同士の馴染みの人間関係、住みなれた安心できる環境に囲まれて過ごせるのは大きなメリットといえるでしょう。
小人数で細やかな対応が可能
グループホームは入居者も職員も少人数であるため、密接な人間関係が存在します。終末期では体の自由も聞かず、コミュニケーションも難しくなり、人とのつながりが薄れがちになります。
その終末期でも、それまでの生活の姿や想いを知り、その人の歴史や価値観などを共有している人々に囲まれているということは、死に向かうその人の孤独と苦しみが緩和される可能性があります。
また、家族にとっても事業所や職員、他の入居者やそのご家族とのつながりも強くなる傾向があります。
終末期では治療方針など、認知症のために意思表明が難しいご本人に変わって決断することも多くなり、ご家族の精神的負担も多いものです。
その際、要望を伝えるなどのこまめな情報のやり取りや、愚痴を言ったり、悩みの相談などの細やかな対応も期待できます。
グループホームでのお看取りの注意点
グループホームでの看取りは、特に認知症の人にとって、たくさんのメリットがありますが、一方で注意が必要な点もあります。
グループホームでの看取りには、どんな注意点があるか確認していきましょう。
看取りをしない施設もある
グループホームで看取りを行っている施設は増えきていますが、全ての施設で行っているわけではありません。現在入所している施設が対応しているとは限らないため、注意しましょう。
いざ、終末期になり看取りを考えても、病院か在宅しか選べない可能性があります。対応可能な介護施設に転居もできますが、入所まで長い時間がかかる場合が多いのであまり現実的とは言えません。
施設探しの段階で、看取りは可能か、どのような実績があるのか、対応できないケースはあるのかは確認しておくとよいでしょう。
医療面のサポートが弱い
法令により、それぞれの介護施設に最低限必要な人員の配置基準が指定されています。その基準では、グループホーム自体に医師や看護師を配置する義務はありません。
そのため、医療体制としてはどうしても弱くなりがちです。急性期や病状の変化が大きな状態に必要な医療は難しいものの、グループホームで看取り対応を行う場合には以下のような対応を取り、看取りに必要な医療体制を整えることができます。
- 近くの病院と協力して往診や訪問診療、訪問看護などで連携する
- 看護師などの医療職を配置
- 同一法人内の医療サービスを利用する
グループホームによってどのような対応を行っているかは違います。看取りを行う場合は、どのような対応方法で、どのような内容の医療的サポートを行っているか確認しておくとよいでしょう。
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グループホームにおける看取りの手順
「実際に看取りを行いたいけど、どんな手順を踏むのか分からない……。」
そんな方も多いと思います。そこで、ご本人がどのような経過を辿るのか、その時にどのような支援があるのかなども合わせて詳しく説明していきます。
1.看取りを前提として入所した際の説明を聞く
入所契約の際に、施設の理念や看取り介護指針、施設で対応できる範囲の説明が行われます。
状況によっては要望がすべて叶うとは限りませんが、ご本人とご家族が今後の生活、そして、終末期をどのように考え、どのように支援してほしいのかを伝える、絶好の機会でもあります。
また、施設側に看取りについての実績があれば、終末期にどのような課題が生じ、どのように対応してきたのかを知る機会でもあります。
終末期について、具体的なイメージを持てない場合でも、その情報がよりよい終末期を考える材料になります。
大切なこととして、その人がどのような看取りを行ってほしいのかを決めるのは、あくまでもその人自身であるということです。死という、ともすれば拒否感があるテーマを、ご本人も含めて考える貴重なチャンスです。
2.穏やかな生活のなかで看取りに備える
入所直後は混乱や不安があったご本人が施設に慣れると、ご本人もご家族も精神状態が安定してきます。
そのような安定がいつ訪れ、どれだけ続くのかは人それぞれですが、その穏やかな生活の中で、終末期を念頭に置いて「どのような看取りを望み」「どのように生き抜きたいのか」という意思を見出していく時期でもあります。
何より大切なのが、ご本人の意思です。ご家族はお看取りに際して、迷い、そして後悔するものです。
例え傍からは最善の道のりを歩んできたとしても「あの時の私の選択は正しかったのか」「余計な苦しみを与えてしまったのではないか」との心残りが、時として、ご家族を苦しませ続けます。
大切な人との別れを整理していく心の過程を“喪の作業”と呼びますが、その喪の作業が穏やかに進むかどうかは、看取りがご本人の意に沿ったものであったかという点なのです。
もし、苦しみがあった最期だとしても、それがご本人の意に沿った選択の結果なら、家族としてご本人の想いに叶うフィナーレに力を尽くしたという事実が、心の支えとなり続け、悲しみを慰めることでしょう。
そんな大切なご本人の意思ですが、もし認知症が進行したり、急な病になってしまえば、その意志を引き出すことが難しくなるでしょう。
だからこそ、安定しているこの生活の中で“終わり”への意思をくみとっていく必要があるのです。それはなにも仰々しいものである必要はありません。
例えば芸能人の逝去のニュースを見て「私はこんな風に亡くなりたいわ」「こんなのは嫌だなぁ」との一言が、ご本人の意思となります。
大切なのはそれを汲み取っていく意識と、その意思を共有していく仕組みづくりです。そのあたりを施設側とご家族の間で連携していく事が必要です。
3.体調が悪化し始めたとき
急病や不意の事故、もしくは老化による穏やかなスタートかもしれません。いずれにせよ、穏やかな生活が終わり、終末期を意識するタイミングが訪れます。
その要因により、終末期のはじまりの姿は様々ですが、医師が終末期と診断できる状態になったら、今後の経過といずれ予想される状態についての説明があり、施設側とも看取りについて話し合いをすることとなります。
もし、これまでにご本人の意思を汲み取る機会がなかったのならば、ここで初めて今後どうするかを悩む方も多くいるでしょう。
逆にここまで終末期への意思の汲み取りを積み重ねてきた場合には、それほど悩むことはないかもしれませんが、いざ具体的な看取りの体制に入ると、想定外のことも多いものです。
しかし、悩む時間はそう多くはありません。
もちろん、この体調の悪化から回復する可能性もあります。それでも、その体験はご本人の望む、より良い終末期への予行演習となるでしょう。
そのため、回復の見通しが高い場合でも、ご本人の状態の悪化が見られたら、看取りについて一度検討しておくとよいでしょう。
もし、看取りに対しての方針と心づもりが固まってきたのならば、看取りが可能な施設では、対応可能な医療提供と、ご本人やご家族の希望する支援とのすり合わせも行い、看取りについての同意書を作成・変更したり、意志の共有を確かなものにするとよいでしょう。
4.最期のときを迎える
医師により終末期と診断されれば、いよいよ、ご本人やご家族が死を受容し、その方らしい最期を迎えられるように、施設側も支援していきます。
この時期は、いつ最期の時が訪れてもおかしくはありません。ご本人には残りの人生を前向きに生きてもらうために、今まで大切にしていたもの、やりたいものなど支援していきます。
希望があれば、例えば、嚥下機能が低下し食事が困難な方にも、安全性を保つ対応をしながら“最期の一口”を楽しんでいただくこともできます。
会いたい人がいれば施設に招いたり、状況が許すならば、行きたいところにいくことも検討できるでしょう。
ご家族の方には、心の準備ができるよう、今現在はどのような状態であるか、今後はどのような経過を辿るかなどを、こまめに説明していきます。
終末期にはご本人とご家族で過ごす大切な時間を設ける施設も多いです。
施設によっては、その時が見えてきたならば、泊っていただくことすらあります。そして、その最期の時を施設で迎えたなら、そのあと、施設内で医師による死亡診断がなされ、御身を清め、ご衣裳を整えていく支援を行います。
グループホームに入る前にやっておきたい2つ
介護施設での看取りを行いたい場合、入所する前にお看取りについて考えておく事も大切です。そのためにやっておきたい2つのポイントを紹介していきます。
ご本人の意思を知る
施設探しを始めた頃には、認知症によりご本人の意向を正確に聞き取れない場合も多くあります。ご本人が元気なうちに、看取る場所やどのように過ごしたいかなどを確認しておくと家族内で話し合いやすいです。
一方で、なかなか聞きにくい内容のため気おくれしてしまう方も多いと思います。そういう時は、エンディングノートなどを活用してお話しするのもいいかもしれません。自治体や関連団体が発行しているガイドブックなども活用しましょう。
直接的な話し合いは難しくても、これらのノートを使えば、必要なときにご本人の意向を把握できるようになっています。「できる限り老後の希望を叶えたいから書いてみて欲しい」と渡してみましょう。
親族内で方針を決める
大切な家族の人生について、人それぞれの考えがあります。ご本人の意向を踏まえ、自分達にどこまで対応できるのか、どんな部分が難しいのか、何をしてあげたいかを確認しましょう。
もし、ご本人の意向が聞けなかった場合でも、親族内で介護についてどのように考えているのか最期はどのように看取りたいのかを確認するだけで、後々起こるトラブルを回避できます。この時に必ず、みんなが納得できる方針を決めるようにしましょう。
誰かが納得できていない状態で終末期を迎え、揉めてしまうケースが少なからずあります。
何より大切なのはご本人とご家族の意思
グループホームでの看取りを見てきましたが、当然、ご本人が認知症であることならではの苦労もありますし、グループホームならではの特徴もありました。
まだ施設が決まっていない方、入所していた施設が看取りを行っていなかった方、どうしようか迷っている方は、今一度自分たちはどうしたいのかを見つめ直してみましょう。
看取りにおいて何より大切なのはご本人の意思です。病院やそのほかの介護施設、在宅など、さまざまな選択肢がありますが、いずれを選ぶにしてもそれ相応の心構えが必要です。
ご本人もご家族も、皆が納得した最期を迎える。そんな看取りを目指していきましょう。
悩んでいる場合は担当のケアマネージャーや医師に相談してみましょう。今後の詳しい経過やできる対応、選べる選択肢などを教えてもらえます。詳しくはこちらをご覧ください。
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