【2022年度改正対応】介護休業給付金3つの受給条件と申請方法とは

【2022年度改正対応】介護休業給付金3つの受給条件と申請方法とは

「介護休業する場合、会社からお金はもらえるのだろうか」「介護休業給付金には受給条件があるのだろうか」など、介護休業給付金の取得や申請方法などについて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

超高齢社会にともない、親や祖父母など、家族の介護のために仕事を休まなければならない方は増加傾向にあります。

介護休業給付金とは「介護のために休業する方への経済的な負担を軽減するための給付金」の一つです。しかし制度自体が複雑であるため、詳細な内容を理解していない方も少なくはありません。

この記事では介護休業給付金の概要や受給条件・申請方法など押さえておきたい情報を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

公益社団法人青少年健康センター 理事
所有資格:CFP®,FP技能士1級,総合旅行業務取扱管理者
専門分野:高齢期の資金計画
職業: ファイナンシャルプランナー
出身組織: 駒沢大学大学院

1963年、東京都港区生まれ。 大学1年生のときにフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後は、新聞、雑誌、ウエブに多数の連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などもおこなう。 ひきこもりのいるご家庭向けに生活設計アドバイスをおこなう「働けない子どものお金を考える会」、高齢者施設への住み替え資金アドバイスをおこなう「高齢期のお金を考える会」、教育資金アドバイスをおこなう「子どもにかけるお金を考える会」を主宰している。著書・監修書は、「おひとりさまの大往生 お金としあわせを貯めるQ&A」(主婦の友社)ほか、70冊を超える。プライベートでは、二男一女の母。詳しくはこちら

5問の質問でわかる!
ピッタリの施設を提案します
STEP
step1
1
step2
2
step3
3
step4
4

そもそも介護休業給付金とは?

家族の介護によって介護する側は十分に働けなくなる可能性があります。このような場合に活用できる制度が「介護休業給付金」です。

介護休業期間中は給料の67%が補償され、休業期間が終わると職場に復帰できます。ここでは以下の2点について解説します。

  • 介護休業の取得条件や最大日数
  • 介護休業と介護休暇の違い

まずは介護休業の概要や取得条件、介護にかかわる似通った2つの制度の違いについて押さえておきましょう。

介護休業とは?取得条件や最大日数を整理

介護休業とは、「介護を必要とする家族を介護するために取得できる制度」です。

要介護認定を受けた家族を介護する際、食事や排泄、着替え、歩行などの日常生活のあらゆる場面で手助けが必要です。厚生労働省が規定する要介護状態については以下の区分があります。

  • 自立
  • 要支援1・2
  • 要介護1~5

8つの区分のうち、厚生労働省が規定する要介護状態とは「要介護2以上」の方が対象です。要介護2の状態とは、家事や買い物などの日常生活の中での動作に加え、食事や入浴など自分自身の身の回りの世話を他者にしてもらう必要がある状態を指します。

介護休業は、要介護2以上の方の介護のために2週間以上休まなければならないときに取得可能です。

仕事と家庭の両立が目的であるため「職場への復帰」を前提条件としています。

介護休業は育児・介護休業法で認められた権利ですが、既に退職が決定している方、または復職する意思がない方などは取得できません。取得可能日数は対象家族1人につき通算で93日間までです。93日間を、3回を上限に分割して取得することも可能です。

介護休業と介護休暇との違い

「介護休業」と似た言葉である「介護休暇」の違いについて、明確に把握している方は少ないのではないでしょうか。似通った言葉ではありますが、制度が異なりますので、注意しましょう。

介護休暇と介護休業には対象者・取得可能な日数・給料・申請方法などに違いがあります。以下の表を参照してください。

介護休暇 介護休業
対象者 雇用期間が6か月以上

要介護状態の対象家族を介護

同一の事業主に1年以上雇用
目的 短期的、突発に必要になったことに対応するための休暇制度 常時介護が必要な人を2週間以上にわたって介護するための休業制度
取得可能な日数 要介護者1人ごとに最大5日/年

(2人以上は10日取得可能)

※半日や時間単位の取得も可能

要介護者1人ごとに通算93日/年

※3回までの分割取得が可能

給料 無給

(会社の規定により異なる)

無給

(会社の規定により異なる)

手当 介護休業給付金の対象外 介護休業給付金の対象となる
申請方法 事業主に申請

事前申請・当日申請いずれも可能

開始日の2週間前までに書類を事業主に提出

このように介護休暇と介護休業とでは、対象者や取得可能な日数などに明確な違いがあります。

対象家族とは親族のうち介護休暇・介護休業として認められる家族の範囲です。具体的には以下の通りです。

  • 配偶者(事実婚も可)
  • 父母(義父母も含む)
  • 子(養子も含む)
  • 祖父母、兄弟姉妹、孫

ここまでの範囲を対象家族とします。いとこや叔父・叔母は対象とならないため、申請時や利用を検討する際は注意しましょう。

費用の安い老人ホームを探しているという方はケアスル介護がおすすめです。全国で約5万件以上の施設情報を掲載しているので、初期費用0円から月額費用10万円以下の施設まで幅広い選択肢から探すことが出来ます。

予算に合った老人ホームを探したいという方はぜひ利用してみてください。

5問の質問でわかる!
ピッタリの施設を提案します
STEP
step1
1
step2
2
step3
3
step4
4
関連記事
介護休暇中に給与はもらえない?介護で会社を休んでもお金をもらう方法は?

【2022年最新】介護休業給付金で知っておきたい3つの受給条件

すべての会社員が介護休業給付金を取得できるとは限りません。取得するためには「受給条件」を満たさなければなりません。条件は以下の3つです。

  • 雇用保険の被保険者
  • 介護休業取得者
  • 復職する前提である者

これらの条件を踏まえ、2022年最新の情報をもとにここからは3つの受給条件について詳しくご紹介します。

介護休業中は収入がなくなってしまう可能性があり、給付金を得たいと思う方も多いでしょう。自分自身が受給の条件を満たしているのか確認してください。

雇用保険に加入する被保険者

まず、対象者は雇用保険に加入している被保険者です。雇用保険とは、労働者の生活および雇用の安定と就職の促進のために、原則として、従業員は全員、雇用保険に加入しています(アルバイトなどの短期雇用者などを除く)。加入すると失業等給付や育児休業給付などそれぞれのライフイベントに応じた給付金が受給できます。

介護休業給付金の受給資格は「介護休業開始日より前2年間に、雇用保険の加入期間が12ヶ月以上ある方」です。ここでの12ヶ月とは、11日以上就業した月を1ヶ月として計算します。

ただし、本人の心身の状況など何らかの理由により、条件が緩和される場合があります。 要件を満たしているかどうかについて、不明な点がある方は、一度ハローワークに確認してみるとよいでしょう。

介護休業を取得していること(介護休暇ではNG)

介護休業給付金の受給は「介護休業の取得」を条件の一つとしています。介護休業とは、要介護状態にある家族を介護しなければならない場合に労働者が取得できる制度です。似たような名前の制度ですが、介護休暇は介護休業給付金の対象とはならないため注意が必要です。

介護休業中は、事業主には給与を支払う義務がありません。勤めている会社によっては、残念ながら介護している期間中は収入がゼロになってしまう可能性があります。収入がなくなれば介護どころではありません。生活そのものが困窮し、立ち行かなくなってしまいます。

介護を受ける側の金銭的な不安を軽減し、そして生活そのものを維持するためにも、介護休業給付金の対象かを確認するのが重要なポイントです。

復職が前提(退職予定者は対象外)

介護休業を申請する際、退職が決まっている方は受給対象外となります。介護休業給付金の制度は、「介護と仕事の両立を支援するため」に設けられており、介護期間終了後は復職しなければなりません。既に退職が決まっている方は介護休業の対象外となり、介護休業給付金の受給対象からも外れてしまうので注意してください。

なお、介護休業については2022年3月31日まで、パートタイマーなどの「有期契約労働者」には2つの条件が設けられていました。

  • 1年以上の勤務
  • 給付開始予定日から93日経過日~6ヵ月を経過する日までに雇用期間の終了が明らかではない

しかし、法改正にともない2022年4月2日以降は1年以上の勤務が要件から除外され、有期契約労働者の方も受給しやすくなりました。ただし、有期契約労働者の方は契約時に「労使協定」が締結されている可能性があるため、事業主へ確認するとよいでしょう。

介護休業給付金が受給できない5つのケースとは

雇用保険の加入と併せて、法律で定められている条件を満たし、要介護状態と認定された家族を介護した際に受給となる介護休業給付金。しかし、すべてのケースで受給できるわけではありません。

中には条件を把握し切れておらず、給付金の対象外となり、生活に困る方も少なくありません。

ここでは介護休業給付金が受給できない以下の5つのケースについて紹介します。

  • 勤続期間が入社から1年未満
  • 介護休業を取得していないケース
  • 休業期間中にも賃金の80%以上の収入がある
  • 月に11日以上就労している
  • 介護休業期間終了後そのまま退職する予定である

介護休業給付金を受け取れる資格があるにもかかわらず、対象外となって受給できない状況に陥らないよう、上記のポイントを確認しておきましょう。

勤続期間が入社から1年未満

勤続期間は介護休業の取得が受給条件の一つです。介護休業を取得するには「同一の事業主による1年以上の雇用」が条件となります。

法改正により2022年4月2日以降は、1年以上の雇用の要件が除外されました。しかし、労使協定により入社1年未満の従業員は介護休業を取得できなくなっているケースが多いのが現状です。

勤続期間が1年未満であれば対象外となる可能性が高いといえます。入社して1年が経過すると対象となるため、1年経過後の申請が対象になる条件だと理解しておきましょう。

また、入社後1年以上経過していても雇用形態や勤務の状況などにより対象外となるケースもあります。介護給付金の受給には勤続期間についても条件がある点を踏まえ、申請前は事業主に確認するとよいでしょう。

介護休業を取得していないケース

給付金受給は介護休業の取得を前提の要件としており、介護休業を取得していない方は対象外となります。では、介護休業はすべてのケースで漏れなく取得できるのでしょうか。取得できないケースとしては、以下4つの可能性が考えられます。

  • 短期的な雇用契約である
  • 申し出の時点で1年以上雇用されていない
  • 申し出時点で、取得日から起算して93日経過する日から6か月を経過する日までの間に契約更新がないのが明らか
  • 1週間の所定労働日数が2日以下

このような4つのケースの場合、介護休業ならびに介護休業給付金の受給不可となる可能性があります。3つ目、4つ目の項目は自分自身では把握しにくい部分です。介護休業を考慮する際は、事業主に雇用条件について確認しておくとよいでしょう。

休業期間中の就労で「賃金の80%」以上の収入がある

介護休業期間中に就労した場合は、受け取った賃金により受給対象外となるケースがあります。

例としては、介護休業期間中の就労で「賃金の80%」以上の収入の場合だと、給付金受給の対象から外れてしまう可能性があります。

賃金の80%に該当するかどうかについては、介護休業に入る前の6か月間のボーナスを除く総支給額をもとに計算されます。「休業開始時賃金日数×30日×80%」の計算式です。この計算式で求めた金額以上の賃金を受け取った場合、給付金の受給対象ではなくなるため注意してください。

月11日以上就業している

就労日数が10日以内であれば特に支障はありませんが、11日以上ある場合は介護休業給付金の対象外となるケースがあるため注意が必要です。

就労している場合は就労日数だけでなく、賃金額の条件にも気をつけなければなりません。仮に就労している日数が10日以内であっても「休業開始時賃金日数×30日×80%」の計算式で賃金の80%を超えている場合は受給対象外となります。

家庭の事情により、介護休業期間中に何らかの方法での就労を検討している方もいるでしょう。就労する日数に加え、賃金額の要件をクリアしなければならないため、働き過ぎによって対象外とならないよう注意してください。

介護休業期間終了後そのまま退職する予定がある

介護休業を申請する時点で退職が決まっている場合は受給対象外となります。制度の目的は、あくまでも「仕事と家庭の両立」です。そのため、介護休業期間終了後の復職が求められます。

しかし、介護休業期間中には不測の事態に陥る可能性があります。対象家族の要介護度がさらに上がった、入所を予定していた施設に急に入れなくなった、病気を患ってしまったなどさまざまな事態があるでしょう。

介護休業を取得する時点では復職の意思があったにもかかわらず、退職しなければならない状況になる場合もあります。復職できないと判明した場合はその時点で事業主に報告・相談する必要がある点に留意してください。

5問の質問でわかる!
ピッタリの施設を提案します
STEP
step1
1
step2
2
step3
3
step4
4

受け取れる具体的な金額は?介護給付金の計算方法を解説

具体的にどのくらいの金額を受給できるのか気になる方は多いでしょう。受給できる金額は、対象者それぞれで異なります。

介護休業給付金の受給金額を事前に把握できれば、不足する金額や足りない分を補う対策などといった計画的な生活設計が立てられます。介護が発生すると、生活設計は不透明になりがちですので、介護休業給付金は確実に受け取れるようにしたいものです。

ここでは計算方法の解説のほかにも、具体的な数字がわかるホームページも紹介しているのでぜひ参考にしてください。

計算式

1ヶ月ごとの給付額は、「賃金日額の67%×支給日数」として計算されます。計算式は「介護休業開始時賃金(日額)×67%×支給日数」です。

賃金日数は休業開始のときの額をもとにします。支給日数は実際に要介護者の介護のため休業した日数であり、最大93日までと定められています。

つまり、給与(賃金)の67%が支給されると認識しておくとよいでしょう。期間中に無給の場合は、介護休業に入る前の6か月間の給与をもとに計算されます。もう少し詳しく解説します。

<月に30万貰っている方が介護給付金を申請する例>
休業開始前の6か月間の総支給額は30万円×6か月=180万円。
1日の賃金に換算すると、1日当たり180万円÷180日(6か月間)=10.000円。
1日の支給額はこの67%となるため6.700円です。
最長で93日間休業する場合は、6.700円×93日=62万3.100円が総受給額となります。

介護休業給付金の申請方法をわかりやすく解説

介護休業給付金を受給するためにはどのような手順で申請をすればいいのでしょうか。申請方法や注意点について以下の4つに分けて解説します。

  • 申請期間:介護休業修了翌日から2カ月後の月末まで
  • 給付金の支給申請書の記入例
  • 申請を忘れた場合も2年以内は遡って申請可能
  • 申請方法:必要書類を勤務先、あるいはハローワークへ提出

ここで紹介する注意点などを踏まえたうえで申請すると、トラブルなく受給できるでしょう。

申請期間:介護休業終了翌日から2カ月後の月末まで

申請期間は介護休業を終えた次の日から2カ月の月末までです。つまり、介護休業中に受給できない点に注意しなければなりません。給付金の名称から「介護休業中に受給できる」と勘違いをしないように気を付けましょう。

「介護に掛かった費用に給付金を充てよう」と考えても、介護休業中に給付金は受け取れないため、介護を受けている方にお金を出してもらうか、自分で負担するかも検討したり、話し合っておく必要があります。

給付金の支給申請書の記入例

介護休業給付金の支給申請書の記入は難しいものではありません。記入例を見ればどなたでも記入できる内容です。

厚生労働省のページで支給申請書の記入例を紹介しているので以下のサイトを参考にしてください。

参照:介護休業給付の内容及び支給申請手続について|厚生労働省

申請を忘れた場合も2年以内は遡って申請可能

原則として介護休業を終えた次の日から2カ月後の月末までが申請期間です。

しかし、申請を忘れた場合も2年以内であれば遡って申請が可能です。介護と仕事を両立しながら申請するには労力がともないます。

2年を過ぎてしまうと時効が成立し、申請ができなくなるため、可能な限り早期に申請して適切に受給しましょう。

申請方法:必要書類をハローワークへ提出

介護休業給付金を受給するには、ハローワークで「支給申請書」を受け取らなければなりません。ハローワークで申請する際に必要なものは以下の4つです。

  • 介護休業給付金支給申請書
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 介護を受ける方との関係を証明するための住民票あるいは戸籍謄本の写しなど
  • 通帳

申請する対象者によって必要なものが異なるケースがあるため、事前にハローワークで確認しておくと困らないでしょう。

介護休業給付金の仕組みを正しく理解し申請しよう

介護休業給付金とは、要介護状態にある家族を介護するために、休業せざるを得なかった介護者やその家族を支援する制度の一つです。給付金により経済的な負担を軽減し、仕事と介護の両立が目的で、介護休業期間中は給料の67%が補償されます

しかし、雇用保険に加入する被保険者や介護休業期間終了後の復職が前提など一定の条件を満たす必要があります。場合によっては受給の対象外となる可能性もあるため注意しなければなりません。

今回紹介した3つの受給条件や注意点、正しい申請方法や申請期間を把握したうえで申請し、給付金を受け取りましょう。

関連記事
介護を勉強したい人必見!おすすめの介護技術動画を紹介
介護を勉強したい人必見!おすすめの介護技術動画を紹介
同じ対象家族について、複数の被保険者が同時に介護休業を取得した場合はそれぞれ支給されるのでしょうか?

同じ対象家族に対して介護する方が変われば、それぞれの被保険者が支給可能です。しかし、それぞれの被保険者が支給要件を満たす必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。

要介護度が変わった場合、制度を2回以上利用できますか?

要介護度が変更となっても、同じ介護対象者に対して原則1回のみしか介護休業給付金を受給できません。ただし、93日を使い切っていない場合や、3分割していない場合であれば3回までの分割は可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

5問の質問でわかる!ピッタリの施設をご提案
プロに施設を提案してもらう