介護認定の5つのメリットを解説!受ける流れから注意点まで紹介

介護認定の5つのメリットを解説!受ける流れから注意点まで紹介

高齢の親がいる方や親族の介護がこれから始まる人が利用する社会保障制度の一つに介護保険があります。

40歳以上になると国民全員が加入する公的な保険である介護保険ですが、要介護認定を受けることによって自己負担割合1~3割でヘルパーの利用や公的施設への入所が可能となります。

介護保険サービスを利用するために必要な介護認定ですが、これから介護をする方にとってはどのようなメリットがあるのかわからないという方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、介護認定のメリットからデメリット、介護認定を受けるとどうなるのかまで解説していきます。

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在宅介護エキスパート協会 代表
所有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士,社会福祉士,宅地建物取引士
専門分野:在宅介護,老後資金,介護施設全般
職業: 社会福祉士,宅地建物取引士,ファイナンシャルプランナー

NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。詳しくはこちら

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介護認定のメリット①居宅サービスを利用できる

介護認定を受けるメリットの一つ目は、介護保険サービスにおける居宅介護サービスを受けることが出来る点です。

居宅サービスは自宅にいながらヘルパーから介護を受けることができたり日帰りで施設を利用することができるサービスです。居宅サービスには「訪問サービス」「通所サービス」「短期入所サービス」「その他」の4種類があります。

サービス分類 名称 概要
訪問サービス 訪問介護 訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護や掃除や洗濯、買い物から調理までの生活支援を行う
訪問入浴介護 利用者の身体の清潔の維持や心身機能の維持回復を図り、看護職員と介護職員が自宅に訪問し、持参した浴槽で入浴の介護を行う
訪問看護 看護師などが疾患のある利用者の自宅を訪問して、主治医の指示に基づいて療養上の世話や診療の援助を実施する
訪問リハビリテーション 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、心身機能の回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションを実施する
通所サービス 通所介護(デイサービス) 利用者が通所介護施設に通い、施設で食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練などを実施する。
通所リハビリ 利用者が通所リハビリテーション施設に通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や生活機能向上のための機能訓練などを行います。
短期滞在サービス 短期入所生活介護(ショートステイ) 介護老人福祉施設などの施設で常に介護が必要な方を短期間で受け入れ、食事や入浴などの日常生活上の支援、機能訓練などを提供する。
短期入所療養介護 医療機関や介護老人保健施設、介護医療院で日常生活上の世話や医療、看護、機能訓練などを提供する。

※参考:厚生労働省「公表されている介護サービスについて

訪問サービス

介護認定のメリットとして受けることが出来る訪問介護サービスには以下の4種類の介護サービスがあります。それぞれの特徴について解説していきます。

  1. 訪問介護
  2. 訪問入浴
  3. 訪問看護
  4. 看護訪問リハビリテーション

訪問介護

訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパーなど)が利用者の自宅を直接訪問して、入浴・排泄・食事等の介助である身体援助、そして食事の準備や清潔な部屋で過ごすための生活介助、最後に通院時の乗車、降車等の介助などを提供しているサービスです。

訪問介護の対象者となるのは、介護認定で要介護1以上の認定を受けている方のみとなります。要支援1あるいは要支援2と認定されている方は「介護予防訪問介護」という形でサービスを利用することが出来ます。

訪問入浴

訪問入浴介護とは、専門の事業者が寝たきり等の理由で自宅の浴槽で入浴することが出来ない方に対して、浴槽を自宅に持ち込んで入浴の介護を行うサービスとなっています。入浴後は、血圧や発熱の有無等のチェックを行うこととなっています。

訪問入浴の対象者としては、介護認定にて要介護1以上の認定を受けた方、医師から入浴を許可されている方のみとなっています。なお、要支援1、要支援2の方は「自宅に浴槽が無い」「感染症など他施設の利用が困難」などの条件を満たしている場合のみで「介護予防訪問入浴介護」というサービスを利用することが出来ます。

訪問看護

訪問看護とは、看護師などの医療・看護ケアの専門家が自宅に訪問して、主治医の指示に基づいて療養上の世話や医療行為を行う看護サービスとなっています。具体的には、身体の清拭、洗髪、入浴介助からバイタルチェック、在宅酸素、人工呼吸器の管理など多岐にわたります。

訪問看護の対象者は主治医から訪問看護指示書を受けた子供から大人までの訪問看護を必要としている方全員が対象となっています。

看護訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションとは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの国家資格を持つリハビリテーションの専門家が利用者の自宅へ訪問し、主治医の指示に沿ったリハビリテーションや診察上・療養上のケアなどを行うサービスです。

訪問リハビリテーションでは主に病気やケガ、高齢が原因で衰えた身体機能や体力を取り戻すためのリハビリトレーニングを行いますが、それだけではなく、利用者の健康をサポートするための様々な業務も行います。対象者は介護認定によって要介護1以上の認定を受けている方となります。

通所サービス

通所サービスとしては、以下の2種類のサービスがあります。

  1. 通所介護(デイサービス)
  2. 通所リハビリ

通所介護(デイサービス)

デイサービスとは、介護認定を受けた方が日帰りで施設に通いながら受ける介護サービスです。多くの施設では送迎バスや送迎車が用意されており、決まった時間に自宅まで迎えにきて施設まで送ってくれます。

デイサービスの利用目的は、介護のプロがいる専門施設で手厚いサービスを受けるために利用される方や、被介護者の気分転換、普段介護をしている家族の負担を減らすために利用するケースなど、利用者によって様々です。

デイサービスを利用するには、介護認定によって要支援1~2および要介護1~5の認定を受けている方が対象となります。

通所リハビリ(デイケア)

デイケアではさまざまな分野の専門家による、リハビリテーションを受けることができます。リハビリの種類は多数あり、利用者とマンツーマンで行うことが特徴です。

マンツーマンでリハビリができることによって、日常生活に必要な筋力の機能回復や動作の訓練をスムーズに行えます画一的なリハビリサービスではなく、利用者1人1人に合わせた内容で訓練を実施してもらえる点も、デイケアの魅力です。

デイケアを利用するには要介護認定にて要支援1以上の認定を受けている必要があります。

短期滞在サービス

介護認定によって受けることが出来る短期滞在サービスとしては、以下の2種類があります。

  1. 短期入所生活介護(ショートステイ)
  2. 短期入所療養介護

それぞれについて解説していきます。

短期入所生活介護(ショートステイ)

一般的なショートステイのサービス内容は短期間施設に入所して宿泊し、食事や排せつ、入浴などの日常的な介護や支援を受けることができるサービスです。

ショートステイは、普段在宅介護を行なっている家庭において仕事や冠婚葬祭などの事情で介護ができない際の対応策として利用される場合や、家族の介護疲れからくるストレスを解消するために一定期間介護から離れる手段として利用されることが多いようです。

要支援1以上の認定を受けた方が利用することが出来るサービスとなっています。

短期入所療養介護

短期入所療養介護とは、滞在中に様々な医療的サービスが受けられる施設にてショートステイすることが出来るサービスです。介護スタッフ以外に医師や看護師が常駐し、日常生活の支援やリハビリだけでなく医療サービスが受けられるため、何らかの医療的支援が必要な方にとっては貴重なショートステイ先となっています。

短期入所療養介護用施設には、介護老人保健施設や介護療養型医療施設などがあげられます。

短期入所生活介護と同様に、要支援1以上の認定を受けた方が利用することが出来るサービスとなっています。

介護認定のメリット②施設サービスを利用できる

介護認定のメリットの二つ目は施設サービスを利用することが出来ることです。

  1. 特別養護老人ホーム
  2. 介護老人保健施設
  3. 介護医療院

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは?

特養とは、要介護3以上の方を受け入れている公的な介護保険施設です。食事・入浴・排泄の介助や生活支援、リハビリ、レクリエーションから看取りまで対応しています。

公的な施設である特養は、他の介護施設よりも比較的安価で入所できることが特徴です。

ただし、安価で人気の高い施設であることから、地域によっては入所待ちが発生していることもあります。細かい状況はエリアごとに異なりますが、入所までに待機期間を要する場合もあることは理解しておきましょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設とは

介護老人保健施設(老健)とは、要介護1~5の高齢者が「病院から退院することになったが、まだ家庭に戻って自立するのは難しい」といった場合に入居して、在宅復帰・在宅療養支援を目指すための介護施設です。したがって、長期入院が明けてから自宅に戻るまでの期間に利用されることが多い施設です。

また、介護老人保健施設(老健)は公的施設なので介護保険が適用されます。したがって、民間の介護付き有料老人ホームなどよりも安価な費用で利用できるのが特徴となっています。

介護医療院

介護医療院は、介護保険施設の1形態であり、その名の通り介護と医療の両方のサービスを受けられることが特徴です。介護と医療両方の側面から利用者をサポートする施設であり、2018年に新設されたばかりの、比較的新しい施設であるため、知名度はそれほど高くありません。

介護医療院のサービス内容としては、医療・看護ケアが中心となっており終身に渡って利用することが出来るのが特徴となっています。

介護認定のメリット③地域密着型介護サービスを利用できる

介護認定のメリットの3つ目は、地域密着型介護サービスを利用することが出来る点です。

地域密着型サービスは、市区町村が指定している事業者が提供しているサービスです。高齢となり介護が必要な状態になった方が自宅や住み慣れた地域で暮らしていけるように、市町村や事業者が一体となって支援する介護サービスです。

地域によって、高齢化の度合いや介護施設の充実度が異なります。地域密着型サービスでは、地域ごとのニーズや実情を踏まえながら、その地域の特徴にあった支援サービスを提供しているのです。

サービス分類 名称 概要
在宅介護サービス 小規模多機能型居宅介護 「小規模多機能居宅介護」とは、利用者や家族の状況に応じて「通所(デイサービス)」や「訪問(ホームヘルパー)」「泊まり(ショートステイ)」を利用することができるサービスです。
看護小規模多機能型居宅介護 「看護小規模多機能型居宅介護」は、小規模多機能居宅介護と類似しており、看護と医療の複合型のサービスとなっています。
夜間対応型訪問介護 「夜間対応型訪問介護」は、18時から翌朝8時までの夜間、定期的に自宅を巡回して様子を確認する定期対応と、仮に転倒して自力で起き上がれない場合などには緊急の対応をしてくれる随時対応の2つのサービスが含まれています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とは、訪問介護員または訪問看護師が1日複数回の定期訪問をして介護や看護を提供する、訪問介護と訪問看護が一体化したサービスです。
地域密着型通所介護 「地域密着型通所介護」では、定員18名以下の比較的小規模な施設に通い、デイサービスやリハビリテーション、介護支援などが行われます。
認知症サービス 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 「認知症対応型共同生活介護」とは、認知症の利用者を対象としたケア付きの住宅で行う介護サービスです。10人以下の認知症患者が、1つの共同生活住居で共同生活を送ります。
認知症対応型通所介護 「認知症対応型通所介護」とは、認知症の利用者のケアを目的としたデイサービスです。このサービスでは、食事や入浴、排せつの介助、生活に関する相談や助言、健康管理や機能訓練などのサービスを受けることが可能です。
施設サービス 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」とは、定員29人以下の特別養護老人ホームにおいて、日常生活の世話や機能訓練、療養上の世話などが受けられる介護サービスです。
地域密着型特定施設入居者生活介護 「地域密着型特定施設入居者生活介護」とは、定員29人以下の小規模な介護専用老人ホームやケアハウスなどにおいて、食事や入浴、排せつといった日常生活上の世話やリハビリスタッフによる機能訓練などが受けられるサービスです。

※参考:厚生労働省「公表されている介護サービスについて

介護認定のメリット④住宅改修の資金援助が受けられる

介護認定の4つ目のメリットは、手すりやスロープを付けるためのバリアフリーリフォームの際のの資金援助を受けることが出来る点です。介護認定を受ける方の中には在宅介護を行う方も少なくないと思いますが、被介護者が自立した生活を送りやすくするためのリフォーム費用の援助が出るのも大きなメリットです。

利用対象者は要介護認定にて要支援1~2、要介護1~5のいずれかの判定を受けた方となっており、支給限度額基準額は20万円となっています。したがって、介護保険サービスの自己負担割合が1割の場合は20万円の1割である2万円を自己負担分として、残りの18万円を援助してもらえるのです。(出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」)

ただし、住宅改修の利用回数は基本的に一人一回(一部例外あり)となっており、複数回にわたってバリアフリー工事をしても原則1回しか支給されないので注意しましょう。

※要介護状態区分が重くなった時(3段階上昇時、また転居)した場合は再度20万円まで支給される。

介護認定のメリット⑤福祉用具の貸与及び購入費用が支援される

介護認定の5つ目のメリットは福祉用具の貸与および購入費用が支援される点です。

在宅介護を行う場合に必要となるのが介護ベッドや手すり、スロープ、車いすなどの福祉用具ですが、指定を受けた事業者から上記を含む13品を自己負担割合1~3割でレンタルすることが出来ます。

また、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトの釣り具の部品等の貸与になじまない福祉用具の場合は、支給限度額10万円以内で購入することが出来ます。そのため、利用者負担が1割の場合は9万円を支援してもらうことが出来ます。

以上より、介護認定のメリットは福祉用具の貸与および購入費用が支援される点にあると言えるでしょう。

介護認定を受ける流れ

介護認定を受ける流れとしては、以下の8ステップあります。

  1. 介護認定の条件を確認
  2. 申請書類の提出
  3. 主治医の受診ならびに主治医が意見書作成
  4. 訪問調査
  5. 一次判定
  6. 二次判定
  7. 要介護認定の通知
  8. ケアプランの作成

それぞれの介護認定の流れについて確認していきます。

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介護認定の条件を確認

介護認定の流れの最初のステップとしては、介護認定の条件の確認です。介護認定ができる方の条件は原則として「第一号被保険者である65歳以上の高齢者」となっています。

ただし、40歳以上の方でも「特定疾病」と認定されている16種類の病気に該当している場合は65歳未満でも申請することが出来ます。特定疾病は以下の16種類となります。

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)

また、介護保険は本人ではなくても家族であれば代理で申請することが可能です。家族以外が申請するのが難しい場合でも病院のソーシャルワーカーや地域包括支援センターの職員が代行して申請することも可能となっています。

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申請書類の提出

介護認定の2つ目のステップとしては申請書類の提出があります。介護認定に必要な書類は以下の5種類となります。

  1. 介護保険要介護認定・要支援認定等申請書
    └書類は自治体の窓口やホームページからダウンロードすることが出来ます
  2. 介護保険被保険者証
  3. 医療保険被保険者証のコピー(特定疾病と認められた第二号被保険者のみ)
  4. 窓口に来所する方の本人確認書類(どちらか1点)
    1. 写真付きの公的身分証明書(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、住基カード、障碍者手帳など)いずれか一点
    2. 写真無の公的身分証明書(介護保険被保険者証、医療保険被保険者証、介護保険負担割合証)いずれか2点
  5. 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)

また、本人以外が申請する場合は「委任状」「印鑑」「代理人の身元を確認することが出来るもの」が必要となることに注意しましょう。

主治医の受診ならびに主治医が意見書作成

介護認定の3つ目のステップとしては、主治医からの意見書の提出です。というのも、介護認定の中でも認定調査の流れとしては以下の図のように主治医の意見書をもとに判断を下すことが一般的です。

要介護認定の調査内容と流れ

したがって、かかりつけ医がいる場合は受診し、市区町村の依頼をもとに主治医に意見書を作成してもらい医、これを提示して要介護認定の判断材料としてもらいましょう。

主治医やかかりつけ医がいないという場合は市区町村による紹介を受けて、医師の診断を受けます。

訪問調査

介護認定の4つ目のステップは訪問調査です。訪問調査では、市区町村の担当者やケアマネージャーが自宅や入院先を訪問して申請者本人の心身の状態を確認したり、生活状況・家族構成などの聞き取り調査を実施します。

要介護認定ではその人に対してどの程度の介護が必要かについて以下の5つの項目から判断されます。以下の項目ごとに、「この人であればそれぞれの介護についてどのくらい時間を要するか」という「要介護認定基準時間」を自動的に算出し、要介護度の認定がなされます。

分類 内容
直接的生活介助 入浴、排泄、食事等の介護
間接生活介助 洗濯、掃除等の家事援助
BPSD関連行為 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等
機能訓練関連行為 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練
医療関連行為 輸液の管理、上則の処置等の診療の補助
スクロールできます

認定調査員による訪問調査では上の5つの情報を総合して要介護認定の審査は行われるため、必要な情報は漏れなく伝えておくようにしましょう。特に認知症の場合はどの程度進行が進んでいるのか、実際の生活においていかなる支障をきたしているのかなども、細かく伝えておかなければなりません。

一次判定

介護認定の5つ目のステップは、医師による意見書や訪問調査によって得た情報を調査する一次判定です。ここでは申請者や代理申請者は特にやるべきことはありません。

認定調査員による訪問調査と主治医意見書などのデータをもとに、約3,500人に対して行った「1分間タイムスタディ・データ」から要介護度を推計します。「1分間タイムスタディ・データ」については厚生労働省より以下のように説明されています。

要介護度判定は「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」を判断するものですから、これを正確に行うために介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間にわたり、どのような介護サービス(お世話)がどれ位の時間にわたって行われたかを調べました(この結果を「1分間タイムスタディ・データ」と呼んでいます。)。(厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」より抜粋)

「1分間タイムスタディ・データ」の中から調査された方と最も近い方を探し出して、要介護度を推計します。推計は、5分野(直接生活介助、間接生活介助、BPSD関連行為、機能訓練関連行為、医療関連行為)から要介護認定介護時間を算出し、その時間と認知症加算の合計をもとにして介護度を判定します。

要支援1 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態
要支援2要介護1 要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護2 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護3 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護4 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態
要介護5 要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態

二次判定

介護認定の6つ目のステップは介護認定審査会による二次判定です。

一次判定の結果や主治医の意見書などを参考にして、介護認定審査会(保健医療福祉の学識経験者5名程度で構成)で2次判定が行われます。

これは介護はもちろん、保険や医療、福祉などの各分野の専門家が集まっている審査を行うことが特徴です。2次判定の結果で支援や介護が必要と判断されると、要支援または要介護の認定が下ります。

要介護認定の通知

介護認定の7つ目のステップは、要介護認定結果の通知です。認定結果は「申請日から30日以内に利用者に通知する」という決まりがあるので、1カ月以内には認定結果が届きます、

認定結果は「非該当(自立)」「要支援1~2」「要介護1~5」のいずれかとなっており、要介護度が明記された結果通知書と、被保険者証が届きます。認定ごとの体の状態については以下の一覧表のとおりです。

介護度の段階 状態
要介護1 立ち上がりや歩行が不安定日常生活において部分的に介護が必要
要介護2 立ち上がりや歩行が自分でできないことが多い日常生活全般に部分的な介助が必要
要介護3 立ち上がりや歩行が自分では困難日常生活全般に全介助が必要認知症の症状により日常生活に影響がある状態
要介護4 立ち上がりや歩行が自力ではほとんどできない食事などの日常生活が介護がないと行えない理解力の低下により意思疎通がやや難しい状態
要介護5 寝たきりの状態日常生活全般ですべて介助が必要理解力の低下が進み意思疎通が困難な状態

要介護認定の結果に納得できない場合は、市区町村役場の介護保険課の、認定審査係の担当者に結果についての相談をしましょう。どのような理由でその認定結果になったのか、理由を確認したり、要支援度や要介護度を上げられないかなどの相談をしたりすることがおすすめです。

もし担当者から説明を受けても納得できないなら、都道府県の「介護保険審査会」に審査請求を行いましょう。

要介護度(介護等級)の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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ケアプランの作成

介護認定の最後のステップはケアマネージャーによってケアプランを作成してもらうステップです。というのも、介護保険サービスは要介護認定を受けただけでは利用することが出来ず、どのサービスをどの程度利用するのかの計画書である「ケアプラン」を自治体に提出する必要があります。

介護認定の注意点

介護認定の注意点としては以下の2点あります。

  • 調査に家族が立ち合わなくてはならない
  • 不服申し立てを行うこともある

それぞれの注意点について確認していきます。

調査に家族が立ち会う方が良い

介護認定の注意点としては、実際に介護をしている家族が調査に立ち会わないと実際よりも結果が低く出たり、高く出ることがあることです。

というのも、上述したように調査を受ける本人が出来ないことを出来ると言ってしまったり、負担以上に頑張ってしまうというケースも少なくなく、普段介護をしている家族がメモなどを見せながら実際の状態を伝えることが重要になってきます。

そのため、介護認定の注意点としては認定の際に家族が立ち会うことが挙げられると言えるでしょう。

不服申し立てを行うこともある

介護認定をする際に覚えておきたいこととして、認定調査の結果に納得できなかった場合は不服申し立てを行うこともあるということです。

介護認定の結果に納得できない時は、まずは市区町村役場の介護保険課の認定審査係の担当者に結果についての相談をしましょう。どのような理由でその認定結果になったのか、理由を確認したり、要支援度や要介護度を上げられないかなどの相談をしたりすることがおすすめです。もし担当者から説明を受けても納得できないなら、都道府県の介護保険審査会に「不服申し立て(審査請求)」行いましょう。

介護保険審査会に審査請求を行うことで、要介護認定の再調査が依頼できます。再度訪問による聞き取り調査やコンピュータによる判定などをしてもらうことで、場合によっては認定の結果が変わることもあります。

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介護認定のメリットを把握して介護保険を利用しよう

ここまで介護認定のメリットから申請の流れまで解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

介護認定をすることによって介護保険サービスを利用できるようになる他、住宅改修支援や福祉用具の貸与・購入費用の支援が出るため、介護認定はこれから介護をするなら必ず行うと言っても過言ではありません。

ただし、介護認定には実態よりも低く出てしまったりすることもあるので、普段から介護をしている家族が調査に参加することが重要です。

介護認定を受けるメリットは?

介護認定を受けるメリットとしては、「居宅サービスや施設サービスを利用することができる」「介護に関連する住宅改修であれば資金援助が受けられる」などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

介護認定の注意点は?

介護認定の注意点としては、「家族が立ち会う方が良い」「不服申し立てを行うこともある」などが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。

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