身寄りがいないと老後はどうなる?元気なうちにできる対策を紹介!

身寄りがいないと老後はどうなる?元気なうちにできる対策を紹介!

内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書」によると、2019年時点で一人暮らしをしている65歳以上の高齢者(単独世帯)は736.9万人であり、65歳以上における全世帯の内28.8%を占めると発表しています。

今後も単独世帯は増加傾向にあり、既に身寄りがいない老後に不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。

本記事では身寄りがいない老後におけるリスクと、元気なうちにできる対策について紹介します。

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身寄りがいない老後におけるリスク

身寄りがいない老後におけるリスクとして、主に4つの場面が想定されます。

  • 生活に関すること
  • 介護・医療に関すること
  • 葬儀に関すること
  • 相続に関すること

親族や家族のような身寄りがいないまま老後を迎えると、様々な困難やトラブルに見舞われる可能性があります。それぞれのリスクについて、順に詳しく解説していきます。

生活に関すること

身寄りがいない老後の生活において、下記のようなトラブルが想定されます。

  • 体調の変化に気づきにくい
  • 適切な財産管理ができなくなる
  • 詐欺被害に遭う

加齢による体力や判断能力の低下により、思わぬトラブルに見舞われるケースは少なくありません。順に解説していきます。

体調の変化に気づきにくい

同居している家族がいない場合、認知症や体調の変化になかなか気づきにくい恐れがあります。

国土交通省の報告書によると、賃貸住宅における孤独死の原因は、約60%以上が病死と報告しています。これは身寄りがいないために病気の発見が遅れてしまう可能性を示唆しています。

その他にも、高齢者の一人暮らしには不規則な食生活や睡眠、喫煙や飲酒により生活習慣病を引き起こすリスクがあります。

参照:国土交通省 [死因別統計データ]

適切な財産管理ができない

加齢に伴い判断能力が低下すると、預貯金の引き出しや株式などの売却に関わる財産管理が困難になる恐れがあります。

成年後見人制度によって、財産管理を4親等内の親族に任せることができます。しかし、身寄りがいない場合は財産を任せる人がいないため、介護サービスを受ける際の契約にも一苦労してしまうことが考えられます。

また次章でも解説しますが、高齢者を狙った振り込め詐欺なども増えてくることもあり、身寄りのいない高齢者が財産を管理することに、様々なトラブルが生じることがあります。

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詐欺被害に遭う

警視庁のデータによると、2018年時点における振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害者の78.1%を、65歳以上の高齢者が占めています。

そのうち、被害者のうち78.2%が「自分は被害に遭わないと思っていた」と回答しており、被害に遭う可能性を過小評価する傾向があります。

多くの詐欺被害は家族の協力があって防がれているものが多いです。家族や親族などの身寄りがいない高齢者は、相談者がいないことから詐欺被害の対象になりがちです。

参照:警視庁 [特殊詐欺の現状と高齢者被害防止のための新たな取組]

介護・医療に関すること

身寄りがいない高齢者が介護や医療を受けるにあたって、以下の点で困難が生じることがあります。

  • 入院・入居時に身元保証人がいない
  • 支払い能力の有無

介護サービスの利用や病院に入院するにあたり、本人の身元や支払いを保証してくれる人が必要になります。順に解説します。

入院・入居時に身元保証人がいない

身寄りがいない高齢者の場合、施設への入居や入院に関わる身元保証人を見つけられず、入居を断られることがあります。

一般的に入院や老人ホームへの入居には、身元保証人と身元引受人が必要です。法律上、身元保証人がいないから入院できないことはありませんが、容体が急変し意思の疎通が困難になった場合など、身元保証人がいないと対応に困るケースがあります。

なお、一部の老人ホームでは身元保証人がいなくても入居できる施設もありますが、独身の高齢者が増加していることもあり競争率は上昇しています。

支払い能力の有無

身元保証人と同様に、入院や入居するにあたり、本人に支払い能力があるかが問われます。

老人ホームに入居する人の多くが、個人の収入や年金でまかなう範囲で施設を探すことになります。身元保証人がいない場合は、別途クレジットカード決済や預託金の差入れを求められるケースもあります。

なお、月額費用や日常生活における金銭管理を施設側が行ってくれるところもありますが、介護保険サービスの範囲外となるため、別途費用が必要です。

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葬儀に関すること

身寄りがいない老後、葬儀を行うにあたって以下のようなトラブルが想定されます。

  • 孤独死や孤立死
  • 遺体の引き取り人がいない
  • 無縁塚へ埋葬される

一人暮らしの高齢者は死亡してから発見が遅くなってしまう孤独死や、本人の意図しない葬儀が執り行われることが考えられます。こちらに関しても順に詳しく解説します。

孤独死や孤立死

前述の国土交通省の報告によると、東京都区部で発生した孤独死は増加傾向にあり、うち65歳以上の高齢者は全体の約7割を占めています。

また身寄りのいない人が自宅で亡くなった場合、発見が遅くなると遺体が腐敗してしまうというケースもあります。日本少額短期保険協会のデータによると、孤独死発生から発見までの平均日数は男女ともに17日であり、3日以内の早期発見は女性の方が多い傾向にあります。

身寄りがいなかったり、地域の人々との交流があまりない高齢者は、病気の発見が遅くなるのみならず、亡くなった際の対応も遅れてしまうことがあります。

遺体の引き取り人がいない

自宅や入居先で亡くなった後、身寄りがいないために遺体の引き取り人がいないという事態が発生します。

入院中や老人ホームに入居中に亡くなってしまった場合、身元保証人が要る場合は、その人が葬儀の手配や遺品を引き取ります。しかし、身元保証人がいない場合は病院が自治体に連絡し、遺体の扱いは自治体に任せます。

たとえ身分証などで本籍地が分かったとしても、遺体の移動は困難であるため、受け取り手がいない場合は亡くなった地域に埋葬されることになります。

無縁塚へ埋葬される

独身で身寄りがいない人が亡くなった際には、行旅病人及行旅死亡人取扱法に基づき火葬されます。

一般的には亡くなった方に家族や親戚などの身寄りがいない場合も、役所で戸籍をたどって親族を探し、遺体の引き取りと火葬・埋葬を行います。また、近隣住民や老老人ホームなどの入居先で葬儀を引き受けてくれるケースもあります。

ただし、親族が一切いない、遺体の引き取りを拒否された場合には、法律に基づき最低限の簡素な火葬と供養が行われ、遺骨は弔う縁者のいない無縁塚にまとめて埋葬されます。

相続に関すること

身寄りがいない場合、相続に関して下記のような問題が発生する恐れがあります。

  • 遺品整理してくれる人がいない
  • 意図しない人に財産が承継される

亡くなった後も、遺品整理や相続人を決めておかないと思わぬトラブルが起こることも考えられます。順に解説します。

遺品整理してくれいる人がいない

身寄りがいないと本人の亡き後、遺品を整理してくれる人がいないことが考えられます。

基本的には遺族が個人の遺品を整理しますが、身寄りがいない場合は役所が故人の戸籍をたどり、親族を探して連絡します。遺品を引き取る人がいない場合には、大家さんや介護施設が遺品整理の費用を負担することが多いです。

その際には家庭裁判所にて相続財産管理人を選任してもらうことにありますが、そのための費用もかかるため、対応してくれる方々に多大なご迷惑を掛けてしまいます。

意図しない人に財産が承継される

身寄りのない人が遺言書を残さずに亡くなった場合、意図しない人に財産が継承される恐れがあります。

子どもがおらず、両親が他界している場合、亡くなった後の財産は兄弟姉妹が法定相続人になります。兄弟もいない場合は兄弟姉妹の子ども(甥姪)が法定相続人になります。

それでも相続する人がいない場合、特別縁故者(個人と特別親しい関係があった人)への遺産を分与後、最終的に国庫に帰属します

これらのように、身寄りがいない老後には、様々なリスクやトラブルが起こることが想定されます。

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身寄りがいない老後を迎える前にできる5つのこと

身寄りがいない老後を迎える前に今できることとして、以下の5つが挙げられます。

  1. 契約や制度を把握する
  2. 身元保証サービスを契約する
  3. 友達や地域の人たちと交流を持つ
  4. エンディングノートを作成する
  5. 老人ホームへの入居を検討する

老後になってから考えるのではなく、元気なうちに対策するのが大切です。順に詳しく解説していきます。

契約や制度を把握する

身寄りがいない人でも安心して老後を過ごすために、高齢者向けの制度や契約を把握しておくと良いでしょう。

身寄りがいない老後に想定される契約として、下記のようなものが挙げられます。

契約名称 概要
任意後見契約 認知症による判断能力の低下など、財産管理や契約の手続きが困難になった場合、法廷行為を代理で行う後見人を立てる契約
財産管理等委任契約 本人に判断能力はあるが、身体上の不調などにより財産管理が困難になった場合、第三者に財産管理の代理権を与える契約
死後事務委任契約 自分が亡くなった後、第三者に葬儀や葬式の手続きや遺品整理などの事務手続きを委任する契約

その他にも、国の制度として介護保険制度や高齢者が受けられる給付金などがあります。身体が元気なうちに契約や制度について調べておきましょう。

身元保証サービスを契約する

身寄りがいない老後、万が一に備えて身元保証サービスを利用することを検討しましょう。

前述の通り、入院や介護施設への入居の際には、身元保証人が必要となります。身元保証サービスは社会福祉協議会やNPO法人などが提供しており、身元保証人が必要な時に親族に代わって身元を保証してくれます。

サービス内容や費用は運営元によって異なります。財産管理や葬儀の手続きなど、自分に必要な保証サービスが用意されているところを探してみると良いでしょう。

友達や地域の人たちと交流を持つ

気軽に話せる友達作りや、地域のコミュニティに参加するなど、積極的に人とのつながりを持つことが大切です。

リンダ・グラットン氏の「LIFE SHIFT」(東洋経済新報社)においても、人生100年時代をいかに生きてい行くために、生産性資産や変身資産の他に、健康や良好な友人関係を持つ活力資産の蓄積が大切だと説いています。

人とのつながりを持っていることで、万が一の時に駆けつけてくれたり、詐欺被害や認知症の予防になります。また、ボランティア活動などの社会参画は、老後の生きがい作りにもつながります。

各自治体で趣味やスポーツを楽しむ「通いの場」の設置やボランティアメンバーを募集しているため、まずは自治体にどんな集まりがあるのか確認してみることをおすすめします。

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エンディングノートを作成する

生前に遺言書やエンディングノートを残すことにより、遺産や葬儀に関することを取り決めておくことができます。

近年は会社の新卒研修で遺言書を記すワークや、エンディングノートの項目が載っているビジネス手帳など、年齢を問わず早い段階で終活を考える機会も多いです。

エンディングノートは遺言書と異なり法的な強制力はありません。遺言書の作成には様々なルールがあるため、財産の継承などに関して明確に決めておきたいとお考えの方は、専門家からアドバイスを受けながら作成すると良いでしょう。

一方、エンディングノートは法的な強制力がない分、遺産相続の希望や万が一の延命措置、葬儀の方法など様々なことを残すことができます。現状の経済状況や人生を見直すきっかけとしても、ぜひエンディングノートを作成してみてはいかがでしょうか。

老人ホームへの入居を検討する

元気なうちに老人ホームへの入居を検討することで、身寄りがない老後も万が一の事態に備えることができます。

実際に身寄りがいない高齢者の中には、早めに老人ホームへ入居を検討している人も少なくありません。

老人ホームは介護が必要な高齢者が入居するイメージが強いと思われがちです。しかし、介護認定を受けていなくても入居できる老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅のようなシニア向けの賃貸住宅もあります。

元気なうちに老人ホームの種類や特徴について調べておくことで、身寄りのない老後も安心して過ごすことができるでしょう。

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身寄りがいない老後の不安は早めに解消しましょう

本記事では、身寄りがいない老後におけるリスクについて解説してきました。

家族や親族がいない場合、日々の生活や介護を受けるときに困難が生じるのみならず、本人の亡き後にも様々なトラブルが起きてしまう恐れがあります。

そのため、身体も判断能力も元気なうちに対策をしておくことが大切です。ぜひ本記事を参考に老後の不安を少しでも解消できましたら幸いです。

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元気なうちに老後に受けられる制度や、財産管理の代理に関わる契約を確認しておくと良いでしょう。また、地域の方々と積極的にコミュニケーションを取ることにより、万が一の際に早期の対応をしてもらえます。詳しくはこちらをご覧ください。

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