実は、認知症になると、顔つきが変化します。もし、家族の物忘れが増えていたり、顔つきが変わったりするのであれば、それは認知症のサインかもしれません。
この記事では、認知症によってどのように顔つきが変化するのか、その理由は何かを解説します。認知症の方が笑顔で毎日を過ごすにはどうしたらよいのか、具体的な方法も紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。
認知症の方の顔つきに見られる特徴
認知症になると、顔つきに変化が生じる場合があります。具体的には、以下のような顔つきになる方が多いです。
- ぼんやりしている
- 表情が乏しくなる
- 悲しそう、表情が暗い
- 目つきが変わる
- 顔がたれる
- 口角に力がなくなる
顔つきの変化には個人差があります。また、認知症と併発しやすい疾患が原因の場合もあり、それぞれの原因によってどのような顔つきになるかも異なります。
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認知症と顔つきの関係とは?
なぜ、認知症の方は顔つきが変化してしまうのか、疑問に感じる方も多いかと思います。そんな疑問に応えるために、ここでは認知症によって顔つきが変わる原因を紹介していきます。
認知症によって顔つきが変わる具体的な原因は以下の3つです。
- 精神的な原因
- 身体的な原因
- 日常生活の変化による原因
なぜこれらが関係しているのか、詳しく解説していきます。
精神的な原因
認知症の方は、アパシーや抑うつが原因で、意欲が低下しやすくなります。その結果、顔つきに変化が生じる方が多いです。
アパシーとは、何事にも無関心、無気力になる状態です。周囲だけでなく、自分自身の物事にすら興味がなくなってしまいます。アパシーになると、意欲がわかず、表情が乏しくなります。生活習慣の乱れや健康面・衛生面への無関心さや無精さが見られ始めたら注意が必要です。
アパシーが原因で顔つきが変わっている場合は、意欲の回復を促していきましょう。そのためには、生活リズムを整え、メリハリをつけることが大切です。自発的に体を動かすよう促しましょう。 サポートのしすぎにも注意が必要です。自力でおこなえる場合は、できるだけ手を貸さずに見守っていきましょう。
抑うつ状態もアパシーと似ていますが、憂鬱、不安を強く感じやすい特徴があります。気分の落ち込みにともない、表情も暗く沈みがちになります。抑うつは不安感や孤独感の解消が重要です。励ましたり、奮起したりするのではなく、共感し、安心できるような対応を心がけましょう。
身体的な原因
認知症の方の中には、パーキンソン病の症状により身体をうまく動かせない方もいます。パーキンソン症状が強くなると、瞬きが少なく、口を開いている、一点を見つめているなど、特徴的な顔つきになります。
また、身体がうまく動かせないため、外出時間が減ってしまったり、コミュニケーションが減ってしまったりするケースも多いです。その結果、外部からの刺激がより一層少なくなってしまうため、抑うつやアパシーを併発する方も少なくはありません。
そのほか、レビー小体型認知症により表情筋をうまく動かせず、無表情になる方もいます。
パーキンソン病もレビー小体型認知症も、顔を含めた全身の筋肉をコントロールができないために顔つきに変化が生じます。抑うつなどを併発していない場合、無表情でも感情はあるため、関わり方には注意しましょう。
日常生活の変化による原因
認知症の方は、日々の生活が単調になりやすい傾向があります。生活がルーティン化していたり、外部の方との接触が少なくなったりしてしまうと、脳への刺激が不足しがちです。脳への刺激が不足してしまうと、認知症の更なる進行を招き、表情が乏しくなってしまいます。
単調な生活や関わり不足は、アパシーや抑うつの原因にもなります。認知症当事者や地域の方、介護職の方が集い、気軽に交流できる「認知症カフェ」などに参加し、症状の進行を防いでいきましょう。
認知症の方を笑顔にするメリット
認知症になると、ぼんやりとした、元気がない顔つきになる方も少なくはありません。そのため、認知症の方の笑顔を取り戻す工夫が大切です。実は、笑顔にはさまざまなメリットがあると考えられます。
認知症の方が笑顔で過ごすメリットは次の通りです。
- ストレスを軽減できる
- 血の巡りがよくなり健康的になる
- 笑顔で脳が活性化される
なぜこのような効果が得られるのか、詳しく解説します。
ストレスを軽減できる
ストレスは認知症の症状を悪化させる原因です。笑顔にはストレスを軽減する効果があると言われています。
ストレスを感じると、コルチゾールというホルモンが分泌されます。このコルチゾールは生物にとって必須ホルモンです。しかし、一時的に分泌されているだけでも記憶力や認知機能に影響を与えます。慢性的なストレスは、コルチゾールを過剰に分泌する原因になり、脳に悪影響をもたらします。
しかし、笑顔になると、β-エンドルフィンが分泌され、ストレスの原因となるコルチゾールを抑制して効果的です。笑顔を増やすと、コルチゾールの分泌が抑えられ、精神状態の安定や、認知症の進行緩和を期待できます。
また、エンドルフィンは、幸せホルモンとも呼ばれ、モルヒネの数倍の鎮静作用があると言われています。そのため、笑顔を引き出すと、認知症の方の痛みや苦しみなどが緩和される可能性が高いです。
血の巡りがよくなり健康的になる
にっこりと笑っただけでも健康維持にさまざまな効果がありますが、声を出して笑うとより効果的です。声を出して笑う行動は、腹式呼吸に似た状態になるため、酸素を普段より多く取り込めます。結果、新陳代謝が活発になり、血の巡りが良くすることが可能です。
血行の改善は、高血圧や動脈硬化、脂質異常症といった生活習慣病を防ぐ効果もあります。それだけでなく、血の巡りが良くなると、冷えや肩こりを始め、くすみやシワ、たるみなどの解消も可能です。
血液は細胞の一つ一つに栄養を運ぶ存在です。血の巡りが良くなると、血液が体の隅々まで栄養を運びやすくなり、体質の改善や健康維持を行いやすくなります。
笑顔で脳が活性化される
笑顔には、脳を活性化させる効果があります。中でも、記憶力を司る海馬が、笑顔によって刺激されやすいため、記憶機能の向上が期待できます。笑顔を増やした結果、認知症による記憶力の低下を遅くできるかもしれません。
また、笑顔になると脳をリラックスさせるα波が分泌されます。脳がリラックスすると、記憶力や認知機能の向上も期待できます。そのほか、脳に血液が大量に供給されるため、脳が活性化され、活発に過ごせるようになるかもしれません。
笑顔には多くのメリットがあるため、毎日笑顔で過ごせるよう心がけましょう。
認知症の方の笑顔を引き出すには
笑顔には多くの効果があります。しかし、日常生活で笑顔になれるタイミングはどれくらいあるでしょうか。意識すると、意外にも笑顔で過ごしている時は少ないかもしれません。
認知症の方は、精神及び身体的な理由や日常生活の習慣により、特に笑顔が少なくなってしまう可能性があります。認知症の方が、日頃から笑顔になれるよう工夫を行っていきましょう。
笑顔を引き出すためには、以下が非常に重要です。
- 挨拶をする
- 話を丁寧に聞く
- 相槌をうつ
なぜこれらが重要なのか、どのように活用すればよいのか、詳しく解説していきます。
挨拶をする
挨拶には、幸せな気持ちになる効果があると言われています。「おはよう」「ありがとう」「いってらっしゃい」など、さまざまな挨拶を日常に取り入れていきましょう。
また、笑顔で挨拶をすると、お互いに気持ちよく一日を過ごせます。目を見て挨拶をしたり、話す声のスピードを緩やかにしたりする点が大切です。大きめの声で、認知症の方の耳だけでなく、心にも届くように声をかけていきましょう。
話を丁寧に聞く
認知症の方は、認知機能の低下により繊細な状態です。不安や寂しさなど、ネガティブな感情を抱きやすくなっています。
誰しも、苦しい時は誰かに話を聞いてもらいたいと感じます。辛いときに話を聞いてもらいたくなるのは、認知症の方も同じです。話を丁寧に聞くと、そういった負の感情を和らげ、笑顔を引き出すことができます。相手を受け入れ、寄り添った対応を行う意識が重要です。
相槌をうつ
認知症の方が笑顔になれる工夫は、会話の中にあります。相槌を打ったり、頷いたりすると、「話をちゃんと聞いてもらえている」と安心感が生まれるため、会話の中で自然と笑顔になれる瞬間が生まれます。
話を聞くときのポイントは、聞き上手になる点です。相槌をうつ、目を見る、話を最後まで聞く、たったそれだけで安心感を与えられます。ときには聞いた話を広げて、認知症の方も考えながら話せるよう工夫しましょう。きっと笑顔で楽しい時間が過ごせるはずです。
認知症の方を笑顔にするトレーニング
認知症の症状により、顔つきが暗くなったり、表情が変わらなくなったりしてしまう方も多いです。そのような顔つきにならないためには、日常的に表情筋を鍛えるトレーニングが大切です。
介護者も認知症の方と一緒にトレーニングに取り組むと、笑顔の相乗効果が生まれます。ぜひ一緒に取り組んでみましょう。
ここでは、脳の活性化を促す「脳活顔ヨガ」と、声を出して笑う「笑いヨガ」の2つについて解説します。それぞれ、笑うために必要な表情筋を鍛えられるので、積極的に取り入れてください。どのようなトレーニングなのか、どのように行うのか詳しく解説していきます。
アンチエイジングも叶う「脳活顔ヨガ」
顔ヨガは、表情筋を鍛える美容ストレッチです。ヨガの呼吸法や動きを取り入れたトレーニングを行います。後に説明する笑いヨガとは違い、美容効果が高いです。むくみやたるみ、目の下のクマ、表情ジワを解消ができ、小顔や美肌を手に入れられます。
youtubeなどにレッスン動画が投稿されているため、興味がある方はぜひ挑戦してください。
参照:『顔ヨガ協会インターナショナル』
手軽にできる「笑いヨガ」
笑いヨガは、笑顔の健康体操です。笑いとは、面白い話題や出来事で自然にできるものですが、笑いヨガは「笑う」動作をエクササイズとして取り入れたものとなります。自然に笑うのも、笑う動作をするのでも同じような健康効果が期待できます。
また、笑いヨガは「笑う姿」「笑い声」などから、笑いを伝染させる力があるため、楽しく過ごすためのきっかけづくりにも効果的です。表情筋だけでなく腹筋なども鍛えられます。
笑いヨガは、声に出して「はっはっはっ」と笑うやり方で、お腹から声を出すのがポイントです。最初は10分間程度、この基本的な笑い方を行います。徐々に時間を伸ばしていくとより効果的です。
参照:『日本笑いヨガ協会』
認知症の方を笑顔にするサービス
認知症のせいで起こる顔つきの変化には、笑顔を引き出すことが最も効果的です。
しかし、介護をしていると、笑顔で接したくても難しい場面も少なくはありません。また、認知症の方の笑顔をうまく引き出せず、悩む方も多いかと思います。そのようなときは、自分の代わりに笑顔を提供してくれるサービスを利用しましょう。
代表的なサービスが「レクリエーション介護士」と「介護レク広場」です。
それぞれどのようなサービスなのか、利用するためにはどうしたらよいのか、詳しく解説します。
介護施設にいる「レクリエーション介護士」
「レクリエーション介護士」は、介護知識の習得はもちろん、レクリエーションの知識と実行する力を証明する民間資格です。
この資格を持つ職員がいるデイサービスや認知症カフェなどに参加すると、より専門性の高いレクリエーションを受けられます。花道や美術、運動など、さまざまな種類のレクリエーションを提供しており、参加者同士で交流も可能です。
また、自らレクリエーション介護士になることもできます。レクリエーション介護士になる過程で、介護知識や高齢者とのコミュニケーション方法を学べます。在宅介護に取り入れやすい知識や実践力を身につけられるため、興味のある方はぜひ挑戦してください。
レクリエーション素材が集まる「介護レク広場」
笑顔を引き出そうと思っても、本人の性格や日々の過ごし方によって、非常に難しい場合があります。「自分であまり話をするタイプじゃないから何をしていいかわからない」「何か活動した方がいいのはわかっているけど何も思いつかない」と悩む方も少なくありません。
今回ご紹介する介護レク広場では、レクリエーションのアイデアや素材などが提供されています。認知症の方が笑顔になれるようなレクリエーションを「介護レク広場」で探してはいかがでしょうか。
印刷して使える塗り絵やレクリエーション動画を中心に、役立つ情報や素材が無料で使用可能です。毎日できる趣味を介護レク広場で見つけてみましょう。
参照:『介護レク広場』
認知症の方が笑顔になれるよう方法を模索しよう
認知症になると、顔つきが変化する場合が多くあります。ぼんやりしている、目つきが変わるなどの顔つきの変化は、精神的な不調や病気、もしくは生活習慣が原因かもしれません。
顔つきに変化があった場合、認知症の方に寄り添った対応を行ったり、笑顔を取り戻したりする工夫が大切です。特に、笑顔はストレスの緩和や血行促進、脳の活性化が期待でき、健康維持に大きな影響を与えます。
脳活顔ヨガや笑いヨガ、レクリエーションを取り入れ、認知症の方と一緒に笑顔を作る工夫をしていきましょう。
個人差はありますが、次のように表情が変化する場合があります。①ぼんやりしている②表情が乏しくなる③悲しそう、表情が暗い④目つきが変わる⑤顔がたれる⑥口角に力がなくなる顔つきの変化には、精神的な不調や病気、生活習慣などの問題が関わっている可能性が高いです。それぞれに合わせた対応を行っていきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
挨拶をする、話を丁寧に聞く、相槌を打つなど相手に安心感を与える関係を構築することが大切です。そのうえで、笑いヨガに取り組んだり、レクリエーションを行ったりすると笑顔を引き出しやすくなります。詳しくはこちらをご覧ください。