• 認知症
  • 【公開日】2023-02-14
  • 【更新日】2023-02-14

認知症の人にやってはいけないこと6つ!やらないためにはどうするべき?

認知症の人にやってはいけないこと6つ!やらないためにはどうするべき?

認知症は、脳の病気や障害などさまざまな原因によって、認知機能が低下してしまった状態です。認知症の家族を介護していると、「どう対応していいかわからない」「気持ちに余裕がない」「何を考えているのかわからない」などの悩みが尽きません。

そんな認知症の家族を介護する人のために、認知症の人にやってはいけないこと、やってはいけないことを行わないためにはどうしたらいいのかなどを解説していきます。

認知症は介護する家族にとって、どうしても負担が重くなりがちです。この記事には、認知症を発症した本人も家族も、皆が穏やかに暮らすために役立つ知識が多く掲載されています。ぜひ最後までご覧ください。

徳島赤十字病院
監修郷 正憲
所有資格:日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT
専門分野:麻酔科、精神科(心療内科)、 脳神経外科、整形外科,、総合内科、口腔外科など

香川大学医学部医学科を卒業後、同年4月より徳島赤十字病院で研修、2013年より正式に従事する。 専門分野は麻酔科をはじめ、精神科(心療内科)、 脳神経外科、整形外科,、総合内科、口腔外科など多岐にわたる。 著書に「看護師と研修医のための全身管理の本」(2022)などがある。詳しくはこちら

所有資格:一般社団法人 薬機法医療法規格協会 薬機法医療法遵守広告代理店認証
専門分野:化粧品や健康食品における広告表現
職業: 薬機法管理者

2003年からヘルスケア情報サービス事業・治験支援事業を行っている企業にて、主にDTC広告の企画営業に携わる。 4年ほど企画営業を担当後、自社のヘルスケアサイトの運営、製薬会社・健康食品メーカーの記事広告の制作を行うが、この時に薬機法(薬事法)についての知識を学び、広告記事の精査を経験。 2017年退社。現在は臨床研究の支援を行う企業にて研究事務局支援に携わる。東京在住。 現在は本業の傍ら化粧品や健康食品の企業の広告等の薬機法チェックを行う。詳しくはこちら

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認知症の人の気持ち

認知症を発症すると、外部刺激に対し、反応が薄くなりがちです。そのため、感情を抱く機能も低下していると、勘違いする人も少なくはありません。

しかし、認知症を発症しても以前と変わらず、嬉しくなったり、不安になったりと感情を抱きます

場所や時間、大切な家族、そして自分すらもわからなくなる認知症は想像以上の恐怖と不安を本人に植え付けます。

徘徊など認知症による困った行動はたくさんありますが、それは不安感や恐怖などマイナスな感情の表れです。

周囲から見ると問題行動でも、認知症の人からするとちゃんと理由が存在します。急に怒り出すのは不安や恐怖から自分を守るための防衛反応です。

そんな不安や恐怖を感じる中、徐々に排泄や家事などができなくなっていきます。失敗を重ねた結果自信を喪失し、無気力になってしまうのです。

 

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認知症の人にやってはいけないこと

認知症の人は常に不安や恐怖を感じており、とても繊細な状態です。介護も簡単ではありません。しかし、認知症の人を介護する際に、絶対にやってはいけないことがいくつかあります。具体的には以下の6つです。

  • 叱りつける
  • 本人の間違いを指摘する
  • 命令・強制する
  • 子ども扱いする
  • 行動を制限する
  • 役割を取りあげる

どんな発言や行動が該当するのかも、併せて解説していきます。

叱りつける

認知症の人を介護するとどうしても余裕を失ってしまいます。つい感情的に叱りつけてしまう場合もあるでしょう。しかし、認知症の人を叱りつけても効果はありません。むしろ悪い影響を与えてしまうため注意しましょう。

  • 「ダメって言ってるでしょ!」
  • 「もうやめてよ!」
  • 「何度言ったらわかるの!」

上記の発言をしても状況は改善しません。「つい叱ってしまう。」「なかなか直せそうもない」と言う人には「アンガーマネジメント」がお勧めです。

怒りのピークは6秒と言われています。そのため、怒りを感じたらまずは6秒、時間をおいてみましょう。それでも治らない場合は、その場を離れ、怒りの対象から気を逸らすと、自身の気分転換を図れます。

本人の間違いを指摘する

認知症の人の話が事実と違っても、本人からすると紛れもない事実です。否定してしまうと、認知症の人はどれが現実なのかわからなくなるほどの衝撃を受けます

  • 「仕事は随分前に辞めたでしょう」
  • 「ご飯はもう終わりましたよ」
  • 「蛇なんていません」

このような対応ではなく、相手の話を受け止めたうえで対処してあげましょう。例えば、部屋に蛇がいると言われた場合、まずは「危ないから部屋から出て欲しい」と伝えます。

そして、箒やバスタオルなどを持って蛇を追い出す動きをしたうえで「もう大丈夫」と伝えてみましょう。

命令・強制する

認知症の人は常に不安を抱えています。そのため、強い口調や命令にとても敏感です。

  • 「早くして」
  • 「言うことを聞かないと怒るよ」
  • 「いいからやって!」

命令されているとはわかりますが、なぜ言われているのかはわかりません。その結果、「命令された」「怒られた」「意地悪をされている」とネガティブな感情だけが蓄積し、家族を信頼できなくなる場合があります。

家族を信頼できなくなると、自分を守ろうと問題行動が発生するケースも多いです。

子ども扱いする

「認知症になると子どもに戻る」とも言われています。確かに心が子ども時代に戻ってしまう人もいるため間違いではないのかもしれません。

しかし、介護では本人の尊厳を守ることがとても重要です。特に精神的には大人でも、1人でできる行動が少なくなった人は悔しさや焦燥感を抱えています。

  • 「できなくても大丈夫」
  • 「私がやるからいいよ」

一見優しい言葉でさえ、「ああ、自分は何もできないんだ……」と自尊心を奪いかねません。本人のよいところに焦点を当て、自己肯定感をあげることが重要となります。

行動を制限する

認知症を発症すると、洗濯をしようとトイレに衣類を詰めたり仕事をしようと夜中に出かけたりするケースがあります。そんな時、認知症の人の行動を制限する場合も多いのではないでしょうか。

しかし、認知症の人はなぜ制限を受けているのかを理解できません。新しい情報を記憶できないため、制限を受けた事実も忘れてしまいます。

そのため以下のような発言は効果がなく、認知症の人にストレスを与えるだけとなってしまいます。

  • 「部屋から出ないで」
  • 「これは絶対やっちゃダメ」

行動の理由を突き止めたり、一緒にやってあげたりといったサポートが必要です。

役割を取りあげる

認知症介護において、役割や活動の場の確保は非常に重要です。生活に密着した家事や趣味、仕事に基づいた役割を持つことで、自信を取り戻し、自己肯定感が高まります。

  • 「料理は私がするから」
  • 「何もしないで」

上記のような対応を行うと、運動不足になったり、脳への刺激が減ったりしてしまいます。その状態が続くと、認知機能が低下してしまうかもしれません。さらに「何もできなくなってしまった」と自尊心が傷つき、無力感を感じやすいです。その結果、抑うつ状態につながる可能性もあります。

認知症の人にやってはいけないことがある理由

認知症の家族を介護していると、叱ってしまったり、間違いを指摘したりする場面も多くあります。

しかし、先ほど挙げた「やってはいけないこと」を行ってしまうと取り返しのつかない結果になってしまうかもしれません。どうしてやってはいけないのか、その理由は大きく分けて2つあります。

● 不快感や不安感のみ残ってしまう

● 認知症の症状を悪化させる危険性がある

やってはいけないこととどのような関係があるのか、どうしてこのような危険性があるのか、詳しく解説していきます。

不快感や不安感のみ残ってしまう

叱ったり、子ども扱いをしたりすると、認知症の人はマイナスの感情を抱きます。そのあと出来事自体を忘れてしまうケースも多いでしょう。

しかし、認知症の人は会話やその出来事自体を忘れても、その時感じた気持ちはしっかり覚えています。そのため不快感や不安感のみ長く残ってしまい、家族との信頼関係にヒビが入ってしまうのです。

また、認知症の人はできなくなっていくものや忘れてしまうものも多いですが、体で覚えた技術は忘れにくいです。そのため、役割を取りあげたり行動を制限したりすると、意地悪や嫌がらせと受け止められ、過剰なストレスを与えてしまいます。

認知症の症状の安定には、本人が安心して、落ち着いて生活できる環境が必須となります。本人に苦痛やストレスを与えないように心がけていきましょう。

認知症の症状を悪化させる危険性がある

認知症の発症を早めたり、進行させたりしてしまう要因は、大きく分けて2つあります。それは、脳への刺激不足とストレスです。

認知症の人は不安の多い毎日を過ごしています。それに加えてやってはいけないことを行ってしまうと、不安を加速させてしまいストレス過多となってしまいます。その結果、怒りっぽくなったり、つらい環境から逃げだしたりと、暴言や徘徊などの症状が悪化するケースが多いです。

また、身の回りのお世話をしすぎて、知らず知らずのうちに役割を取りあげてしまうケースもあります。脳も体と同じく、適度な活動が必要です。役割も変化もない毎日では、脳に刺激を与えられません。刺激が足りずにいると、認知機能が低下し続け、認知症の進行を早めてしまいます。

 

認知症の方でも入居できる介護施設を知りたい方は、ケアスル介護での相談がおすすめです。

ケアスル介護なら、専任のケアアドバイザーに相談しつつ、その人に合った介護施設を探してもらうことが可能です。

予算や認知症度合い、要介護度などを伝えるだけでおすすめの施設を紹介してくれるので、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。

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認知症の人にやってはいけないことをしないためには

やってはいけないこととその理由は理解してもらえたかと思いますが、介護はそう簡単ではありません。してはいけないとわかっていても、難しい場面も多くあります。

認知症介護で一番重要なものは、「介護者の心の余裕」です。「介護に加えて仕事や家事にも追われているのに余裕なんて持てない……」そう感じる人も多いでしょう。そんな人が少しでも心にゆとりを持つためには以下3つが重要になります。

● 認知症を理解する

● 介護サービスを利用する

● 落ち着かせる方法を知る

なぜこの3つが重要なのか、どのように活用したらよいのか解説していきます。

認知症を理解する

認知症の症状は、周囲から理解しにくい特徴があります。何に困っているのか、どうして徘徊などの行動につながるのかを知っていないと、適切に対応できません。そのため、認知症介護において、認知症そのものの理解が非常に重要になります。

また、自分に大きな負担をかける家族を敵のように感じてしまったり、そう感じてしまう自分を嫌になったりする人も多いです。認知症介護で一番大きな壁は自分の心です。「この症状は認知症のせいなんだな」「今不安に感じているから、この症状が現れているんだな」と考えられるようになると、自分を責めてしまう場面を減らせます。

中核症状

認知症により脳の細胞がダメージを受けると、脳の働きが低下します。脳の働きが低下し、直接的に起こる認知機能の障害を中核症状と言います。

● もの忘れが多くなる(記憶障害)

● 時間や場所、人がわからなくなる(見当識障害)

● 理解力や判断力が低下する

● 仕事や家事ができなくなる(実行機能障害)

● 言葉がわからない、出てこなくなる(言語障害)

● 服を着られない、スプーンの使い方がわからない(失行)

● 右もしくは左どちらかのものを認識できない(失認)

上記のような症状が認知症による直接的な認知機能の障害です。アルツハイマー型認知症は記憶障害が目立ち、レビー小体型認知症は見当識障害が強くでやすいです。

行動・心理症状

中核症状によって引き起こされる二次的な症状を行動・心理症状と言います。

● 一人になると怖がったり寂しがったりする

● 憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きものに興味を示さなくなる

● 怒りっぽくなる

● 誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)

● 自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)

● 目的を持って外出しても途中で忘れてしまい帰れなくなってしまう

● あてもなくうろうろと歩き回る(徘徊)

● 眠れなくなってしまう

中核症状によって、失敗が多くなると、精神的に落ち込んだり、焦りを感じたりします。このような性格や心理状況が原因となって起きる症状が行動・心理症状です。行動・心理症状は安心感を得ることによって、症状の緩和が期待できます。

落ち着かせる方法を知る

認知症の人が攻撃的になるのは、不安な気持ちの表れです。自分を守ろうとするため、抵抗、攻撃に出てしまいます。

そのため、原則叱らずに相手の話を受け入れましょう。それでも興奮が収まらない場合は、一旦距離を置き、危険な行動をしないか見守りましょう。誰かと対応を交代すると気持ちの切り替えができる場合もあります。

「あの世にいきたい」などのお迎え願望を口にしたときは、理由を尋ねてみましょう。具体的な答えが返ってきた場合は解決策を探ります。漠然とした愚痴のときはひと通り聞いたあと、「お母さんがさびしがるよ」などの話を締めくくる言葉を言いましょう。

認知症の人は繰り返し、同じ話をするケースが多いです。返事を予め決めておくと気が楽になります。本人にあった返事を探してみましょう。

介護サービスを利用する

認知症の診断を受けている場合は、ほとんどの人がすでに介護サービスを利用しているかと思います。利用していない人はできる限り早めの利用をお勧めします。

ここでは、「介護サービスは家族が休むために利用していい」と覚えてください。このような休息のための介護サービスは、レスパイトケアと呼ばれています。

介護を行っていると、自分のための時間を確保できず、心身ともに慢性的な疲労を覚えるようになります。そんな心身の疲労をレスパイトケアにより回避可能です。

● デイサービス(通所介護)

● ショートステイ(短期入所生活介護)

レスパイトケアの代表的なサービスは上記2つです。認知症の人だけではなく自分も大切にしていきましょう。

認知症の人に寄り添った対応を心がけよう

認知症の人は、認知機能が低下し、場所も時間も自分のこともわからなくなっていく、そんな不安な毎日を過ごしています。

徘徊や怒りっぽくなるなどの症状は、不安や恐怖の現れです。気持ちに寄り添った対応を行うと安心できる関係、環境を再構築でき、問題行動が減るかもしれません。実際にそのような症例は多くみられています。

認知症の人にやってはいけないことを行わないためには、介護者の気持ちの余裕が何よりも重要です。余裕を持つために、知症や対応の仕方について学ぶのもよいでしょう。

しかし、何より重要なのは自分自身を大切にする気持ちです。

みんなが幸福になれる、そんな道を模索していきましょう。まずはレスパイトケアができる施設を探してはいかがでしょうか。

認知症の人にやってはいけないことは何ですか?

脳への刺激不足やストレスは認知症の悪化につながります。叱りつける、本人の間違いを指摘する、命令・強制する、子ども扱いする、行動を制限する、役割を取りあげるなどは行わないようにしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

認知症の人のケア中ですが、どうしても心に余裕が持てません。どうしたらいいですか?

レスパイトケアを受けましょう。デイサービスやショートステイ、ホームヘルプサービスを利用し、自身の心身の疲労を回復できます。認知症の人だけでなく、自分も大切にすることで少しずつ心に余裕が持てるようになります。詳しくはこちらで解説しています。

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