家族が入所する際に必要なのが「保証人」です。お金や、身元引き受け時のトラブルなど、保証人と聞いてよいイメージを持たない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、これからケアハウスの入所を考えている方に向けて、ケアハウスの保証人の役割や、実際のトラブル事例や、保証人がいないときの対処法を解説します。
この記事を読んで、「保証人」についての知識をつけておけば、避けられるトラブルもあるでしょう。分かりやすく記載しているのでぜひ最後までご覧ください。
ケアハウスの入所に保証人は必要なのか
結論から言うと、ケアハウスへ入居するために保証人が必要とされるケースは多いです。
しかし、「絶対に必要」というわけではありません。
「介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業」によると、ケアハウスの97%が「入居時の書類に本人以外の署名を求めている」としてます。
ただ、一部のケアハウスでは「本人以外の署名が難しくてもそのまま入居を認めている」としており、まれに家族の保証がなくても入居できるケースもあるでしょう。
アンケートの詳細は下記です。
「Q.契約書における「本人以外の署名欄」に、記載ができない場合の入所の取扱いは?」に対するケアハウスの解答
回答 | 割合 |
そのまま入居を受け入れる | 7.8% |
条件付きで受け入れる | 26% |
入居を受け入れない | 46.6% |
特に決めていない | 18.2% |
その他 | 1.6% |
「条件付きで受け入れる」を含めると、約35%の施設が身近に保証人がいない場合でも入居を受け入れています。(※条件については後述します)
ケアハウスの入居には、必ずしも保証人は必要ありません。とはいえ、半数は入居できないので、施設への確認は必要でしょう。
ケアハウスへの入居を検討している方は、ぜひケアスル介護へ相談してみてはいかがでしょうか。
専門の入居相談員が常駐しているため、保証人がいない場合の対処方法を一緒に相談したり、条件に合わせたケアハウスを見つけたりなど、あなたの状況に合わせた相談をすることができます。
面倒な事務手続きや見学設定も代行してくれるので、ぜひ一度相談してみることをお勧めします。
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ケアハウスの保証人に求められる役割とは?
では、保証人の役割についても見ていきましょう。以下の通りです。
- 財産管理について (支払・ 保証・日常の金銭管理)について
- 契約 (サービ ス提供)について
- 医療に関について
- 退所時に関について
- 死後事務に関について
それぞれ見ていきましょう。
財産管理 (支払・ 保証・日常の金銭管理)について
「利用料の支払いや、本人の金銭管理を含めた財産管理」は保証人の役割です。
当社の調べでは、ケアハウスの利用にかかる費用は、住居費、光熱費、食費、介護サービス費などで、平均月額で12万円となっています。
それなりに利用料はかかるため、金銭的な理由により、支払いができなくなるケースも考えられるでしょう。
そういった場合の「未払いのリスク」を下げるためにも、保証人を必要としているケアハウスは多いです。
契約 (サービス提供)について
「入居に関する契約の代理」も保証人の役割です。ケアハウスに入居していると、契約の更新を必要とする場面があります。
例えば、
- ケアプランの更新
- 契約内容の変更
- 利用料金の変更
上記などです。認知症や、病気などのために本人が契約を行えない場合は、保証人が代理で契約を行います。
医療的な判断について
「医療に関する意思決定」に保証人が必要なケースがあります。
例えば、
- 外出中に事故にあった
- 施設内で脳卒中になり倒れた
- 心不全が悪化して入院となった
入院治療や、手術が必要な場面で、本人が意思決定できない状況なら、保証人が医療に関する意思決定をくださなければなりません。
多くのケアハウスは、こうした緊急時に備える意味でも保証人を立てています。
退所(退去)について
ケアハウスをはじめとした老人ホームでは、「本人の意思とは別に退去となるケース」があり、受け入れ先や、相談のために保証人は必要とされています。
退去となるケースは下記の通りです。
- 暴力行為や迷惑行為により入居を継続できない
- 継続的に医療が必要になった
- 長期入院になった
- 利用料が払えなくなった
退去となる条件は、施設によって契約が異なるため、事前に確認しておく必要があるでしょう。
死後事務について
「入居者本人が亡くなったあとの事務処理」も保証人の役割とされています。
例えば下記です。
- 死後の葬儀社の段取り
- 遺体の引き取り
- 未払いの料金など
- 本人の私物の引き取り
施設側からすれば、高齢者の受け入れる上で、死後の相談を行う保証人がいないのは、将来的なトラブルとなるリスクがあります。
こうしたリスクを回避するため、保証人がいない状態では入居できない、としている施設も多いです。
ケアハウスにおける保証人と身元引受人の違い
「保証人」と似た言葉で「身元引受人」があります。本来の意味は異なりますが、老人ホームにおいて「保証人」と「身元引受人」は同じ意味で使われています。
「介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業」のアンケートによると、保証人を記載するとされる「入所契約書における本人以外の署名欄の名称」は
- 身元引受人
- 身元保証人
- 保証人
など、さまざまなものが上がっています。おそらく、多くの老人ホームで、「保証人」と同じ意味として使われていると考えられるでしょう。アンケートの詳細は下記の通りです。
Q「入所契約書における本人以外の署名欄の名称は?(複数回答)」に対するケアハウスの解答
名称 | 割合 |
身元引受人 | 26.6% |
身元保証人 | 66.8% |
保証人 | 11.6% |
連帯保証人 | 13.2% |
代理人 | 6.9% |
代行者 | 6.3% |
契約者 | 1.3% |
親族 | 3.4% |
家族の代理 | 3.1% |
成年後見人等 | 6.3% |
その他 | 3.8% |
参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
なお、「身元引受人」「保証人」の本来の意味は、
- 「保証人」:支払い債務の連帯保証及び身元保証などする人
- 「身元引受人」:万が一入居者が亡くなった場合、その後の対応を引き受ける人
とされています。
しかし、老人ホームでは、どのような呼び方でも、前述した「保証人の役割」を担う存在だと考えましょう。
ケアハウスへの入居を検討している方は、ぜひケアスル介護へ相談してみてはいかがでしょうか。
専門の入居相談員が常駐しているため、保証人がいない場合の対処方法を一緒に相談したり、条件に合わせたケアハウスを見つけたりなど、あなたの状況に合わせた相談をすることができます。
面倒な事務手続きや見学設定も代行してくれるので、ぜひ一度相談してみることをお勧めします。
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保証人になった際のリスクとは?
前述した保証人の役割から、リスクは以下の通りです。
- 本人の代わりに支払いが生じるかもしれない
- 本人の代わり医療提供や契約時の承諾などの重要な判断を求められる
- 退去時に本人の引き取りや、退去後の住居の準備などを求められる
- 遺体の引き取りや死後の手続きを求められる
- 施設から行事の案内や、本人の状態について連絡がある
保証人となると、その役割を求められるでしょう。
また、家族や親族が保証人となった場合は、キーパーソン(※主な介護者)として、施設のイベントの案内や、本人の状態についての連絡があるかもしれません。
本人と関わりたくないと思っている場合はこういった連絡もストレスです。また、このような役割を担えない場合は、保証人となるのは避けるべきでしょう。のちにトラブルとなる可能性があります。
老人ホームにおける保証人に関するトラブル事例
では、具体的に保証人に関するよくあるトラブルの例を見ていきましょう。
トラブル事例1
疎遠になっている家族から保証人になって欲しいと言われて困っている。 参照:新潟の弁護士による相続問題相談
よくあるのが、保証人を依頼されて困っている事例です。
保証人のリスクは前述した通りで、本人が支払えない場合の費用の負担や、死後の処理などを任せられるケースです。
のちのトラブルを回避するためにも、無理ならしっかり断りましょう。
「身元保証サービス」などもありますので「どうしても…」と言うなら、そちらを提案するのもよいでしょう。
トラブル事例2
おば(義母の従妹)の保証人になったが、行事に参加したり歯の治療や病状の軽い変化などで呼び出され疲弊している。 参照:Yahoo!知恵袋
老人ホームにおける保証人は「キーパーソン(※主介護者)」としての役割を求められます。
利用者の体調の変化や、行事への参加を促される場面があるため、負担となるケースもあります。
施設に事前に、「連絡は控えてほしい」などを伝えておきましょう。
トラブル事例3
老人ホームに入居していた叔父が亡くなり、保証人の自分に入居一時金の未償却分が返金されることになったが、分配について他の親族と揉めている。 参照:Yahoo!知恵袋
保証人は金銭の管理にあたり、本人が亡くなった場合に家財の引き取りや、入居一時金などの払い戻しを受けます。入居一時金は、施設によって異なりますが0~30万円ほどが相場です。
こうした金銭の受け取りは大きなトラブルの元となるので、保証人となる場合は事前に家族や、親族と相談しておきましょう。
ケアハウス入所の際に保証人にならずに済む方法は?トラブルを回避するために
では、ここからは保証人のトラブルを回避するための注意点を見ていきましょう。
- 保証人は変更できる
- 保証人が必要ない老人ホームを探す
- 成年後見制度を利用する
- • 身元保証サービスを利用する
それぞれ、解説していきます。
保証人は変更することができる
まず、前提として知っておいてほしいのが「保証人は変更できる」点です。ただし、簡単に変更できるわけではありません。
保証人を変更する際の条件は下記です。
- 保証人が死亡したとき
- 資産状況が変わってしまったとき
変更できるのは「変更せざる得ない状況が発生したときのみ」です。とはいえ、自分が生活できない状況で保証人を続ける必要はありません。
過去に保証人となり、資産状況が変わってしまった場合は、ケアハウスに相談してみましょう。
保証人が必要ない老人ホームを探す
冒頭で、前述しましたが、わずかに「保証人が必要ない老人ホーム」も存在します。特に、「養護老人ホーム」はその割合が多い傾向にあります。
「入居時に契約書面に本人以外の署名がなくても入居させる」と回答した施設の割合
施設種別 | 割合 |
特別養護老人ホーム(特養) | 6.4% |
介護老人保健施設(老健) | 8.4% |
介護療養型医療施設 | 17.9% |
グループホーム | 16.3% |
養護老人ホーム | 37.1% |
軽費老人ホーム(ケアハウス) | 7.8% |
有料老人ホーム | 4.1% |
参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
養護老人ホームは、「生活環境の理由」「経済的な理由」により自宅での生活が難しい方を受け入れるための施設です。
家族や、親族おらず、保証人が立てられないケースも多いと考えられます。
保証人になるのが難しい、と考えている場合は、上記のような施設を検討するのも1つの手でしょう。
成年後見人制度を利用する
保証人になることが難しければ、成年後見人制度を利用するのもよいでしょう。成年後見人とは、「認知症や、知的障害などにより判断能力がない本人に代わって、財産管理や、見上保護などの法律行為をサポートする制度」です。
施設入所の際には、家庭裁判所で認められた弁護士や社会福祉士、市町村長が成年後見人となり、保証人として立てられます。
実際に、保証人がいないケースにおいて「条件付きで入所を認める」と回答したケアハウスのうち、74%が条件として「成年後見人を立てる」を挙げています。
詳細は、家族が入所している施設や、自治体の「地域包括支援センター」などに相談してみましょう。
成年後見人制度を有効活用した事例
本来この制度は、高齢者や障害者などの権利や財産を守るための制度です。
そのため「金銭的事情で施設入所が難しいケース」や「本人の意思決定の代行」には有用です。
実際に成年後見人制度を利用してうまくいった例を見てみましょう。
【例1】 入所者のADL(身体機能)の低下により、施設を退所することになった際、次の施設で保証人を求められた。市長申し立てで、成年後見人が決定後に施設入所ができた。 参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
【例2】 利用者さんがご家族に虐待を受けているケースでは、後見人制度を活用することで、利用料の支払い、ケアプランの同意がスムーズに行えて、ご本人の生活が守られていると思います。 参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
施設側にとっても、契約についてスムーズな同意が得られ、円滑なサービス提供につながっています。
成年後見人制度を有効活用できなかった事例
制度上の問題点として、「手続きに時間がかかる」「財産管理以外の事柄が決めにくい」などの難点もあります。具体的な例は下記です。
【例1】 成年後見等の手続きが2か月くらいかかり、入居に時間がかかった。 参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
【例2】 重度の認知症がある人に対して、延命、看取り等の意見決定が後見人には決めれない。 参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
成年後見人を立てれば、施設入所はできますが、保証人としての役割をすべては担えません。
「医療に関する意思決定」「退去時の引き取り」などは、家族に意見を求められるケースもあります。
身元保証サービスを利用する
身元保証サービスとは、家族や親族に代わり、身元保証人を代理就任してくれるサービスです。
入居における手続きのサポートや、病院への緊急搬送時の対応、財産管理などを請け負ってくれます。
利用を求めるケアハウスもあり、入居時に保証人がいない場合に「条件付きで入所を認める」と回答したケアハウスのうち、「身元保証サービスの利用を求める」と回答したのは26%となっています。
身元保証サービスを有効活用できた事例
では、具体的に利用した例を見ていきましょう。
【例1】 認知症と診断され、財産管理が 困難であり、家族管理ができない場合、NPO法人 リーガルサポート支部に相談することがある。 参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
身元保証サービスは、家族が保証人とならない、本人が認知症となり意思決定が難しくなった場合などに有用なサービスです。
利用は、家族や、本人だけではなく、施設側からもNPO法人へ相談があるケースもあります。
身元保証サービスを有効活用できなかった事例
このサービスの内容は、本人死亡時の葬儀や遺体の引きとり、利用料金未払いの保証などです。
そのため、身元保証サービスを利用し、施設入所しても「医療的な判断」は家族に求められるケースがあります。
【例1】 本人への影響の大きい医療行為(入院、手術、延命治療等)への同意が得られないケースが多い。 参照:介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業
【例2】 「事業者に勧められるままにサービスを追加して思ったより高額な契約になった」などの相談が寄せられている 参照:国民生活センター
また、利用料は安くはありません。「身元保証料」「葬儀・納骨死後事務手数料」など、合わせると100万円前後となるケースもあります。
本人が契約後すぐに亡くなってしまった際には払い戻しがあるケースもありますが、利用時にはしっかり検討しましょう。
ケアハウスへの入居を検討している方は、ぜひケアスル介護へ相談してみてはいかがでしょうか。
専門の入居相談員が常駐しているため、保証人がいない場合の対処方法を一緒に相談したり、条件に合わせたケアハウスを見つけたりなど、あなたの状況に合わせた相談をすることができます。
面倒な事務手続きや見学設定も代行してくれるので、ぜひ一度相談してみることをお勧めします。
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まとめ:必ずしもケアハウス入所の際に保証人になる必要はない
今回は、ケアハウスの身元保証人について下記を解説しました。
- 保証人の役割
- 保証人に関するトラブル事例
- トラブルに巻き込まれないためには
身元保証人は、引き受けるのは簡単ですが、後にトラブルになるリスクもあるでしょう。ケアハウス入居にあたっては、身元保証人がいなくても大丈夫なケースもあります。
依頼されたからといって簡単に受けずにしっかり検討してから返事をしましょう。
必要である場合が多くなっています。ただ、約35%ほどの施設では身近に保証人がいなくても入居を認めていることもあるようです。詳しくはこちらをご覧ください。
保証人となる条件は施設によって異なります。一般的には「責任を負える人物」が適任とされており、契約時に収入を証明する書類の提出を求める施設もあります。詳しくはこちらをご覧ください。