• 認知症
  • 【公開日】2023-02-16
  • 【更新日】2023-02-16

認知症の検査を受けるのは不安?早期発見で得られるメリットを解説!

認知症の検査を受けるのは不安?早期発見で得られるメリットを解説!

認知症の検査は「認知症かも?」と思ったら早めに受けた方がよいといわれています。早期発見により認知症の進行を抑えられる可能性が高いです。しかし、家族を検査に誘う場合、どのように伝えたらよいのか悩む方もいるかもしれません。

この記事では、認知症の検査について詳しく解説します。合わせて、ご家族を病院へ誘う方法なども紹介しているので、ぜひ、参考にしてください。

徳島赤十字病院
監修郷 正憲
所有資格:日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT
専門分野:麻酔科、精神科(心療内科)、 脳神経外科、整形外科,、総合内科、口腔外科など

香川大学医学部医学科を卒業後、同年4月より徳島赤十字病院で研修、2013年より正式に従事する。 専門分野は麻酔科をはじめ、精神科(心療内科)、 脳神経外科、整形外科,、総合内科、口腔外科など多岐にわたる。 著書に「看護師と研修医のための全身管理の本」(2022)などがある。詳しくはこちら

所有資格:一般社団法人 薬機法医療法規格協会 薬機法医療法遵守広告代理店認証
専門分野:化粧品や健康食品における広告表現
職業: 薬機法管理者

2003年からヘルスケア情報サービス事業・治験支援事業を行っている企業にて、主にDTC広告の企画営業に携わる。 4年ほど企画営業を担当後、自社のヘルスケアサイトの運営、製薬会社・健康食品メーカーの記事広告の制作を行うが、この時に薬機法(薬事法)についての知識を学び、広告記事の精査を経験。 2017年退社。現在は臨床研究の支援を行う企業にて研究事務局支援に携わる。東京在住。 現在は本業の傍ら化粧品や健康食品の企業の広告等の薬機法チェックを行う。詳しくはこちら

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認知症検査はどこの医療機関で行う?

認知症の検査を受ける時、どこの医療機関に受診したらよいか悩む方も多いでしょう。

認知症の疑いがある時は、かかりつけ医に相談してください。かかりつけ医から認知症の専門医へつないでもらえます。もし、かかりつけ医がない場合は、地域の包括支援センターに相談しましょう。

「認知症検査」と運転免許更新時に受ける「認知機能検査」とは、別のものです。

免許更新時に行う検査では、運転時の法律を守れるかどうかの「記憶力」や運転中のトラブルがあった場合に必要となる「判断力」の検査を行います。医師による検査や診断とは異なるため、必ず正しい検査を受けましょう。

認知症検査は、以下の医療機関で受けられます。

  • 脳神経内科
  • 脳神経外科
  • 精神科
  • 心療内科

認知症の方の症状に応じて、受ける科を決定すると、より本人に合った適切な治療を受けられます。そのためにも、まずはかかりつけ医に診てもらいましょう。

参照:『厚生労働省|もしも 気になるようでしたらお読みください

参照:『厚生労働省|認知症に関する相談先

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認知症早期発見のメリット

「認知症は早期発見が大事って言うけどどうして大事なの?」そう疑問に感じる方も多いかと思います。早期発見のメリットはたくさんありますが、代表的なものが以下の2つです。

  • 認知症の進行を緩やかにする
  • そのほかの病気も治療できる

ほかにも、症状が軽いうちに、本人やその家族が認知症への理解を深め、今後の生活に備えられるといったメリットもあります。介護保険サービスなど外部のサービスも利用し、生活の支障を減らすことも可能です。

認知症の進行を緩やかにする

三大認知症と呼ばれる、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症は、脳が変性もしくはダメージを受けたために、認知機能が低下する認知症です。

この変性した部分やダメージを受けた部分は原則回復しません。また、認知症は日々進行する病気です。そのため、認知症の発見が遅れると、その分症状が悪化してしまいます。

認知症を早期発見できると、認知症の症状を初期段階から抑え、今後の進行を緩和できる可能性があがります。

また、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、甲状腺機能低下症などの病気では認知症と同様の症状を引き起こすことがありますが、早めに治療すれば改善が可能です。そのため、早期受診により、認知症の症状の原因となっている疾患を突き止めることが大切です。

そのほかの病気も治療できる

認知症の原因が何かを探った結果、認知症以外の病気が見つかる場合もあります。

例えば、認知症と似た症状が出る病気に慢性硬膜下血腫があります。これは脳と頭蓋骨の間に血液が少しずつ貯留する病気です。

高齢者は血管が脆いため、ちょっとした衝撃でも出血につながってしまいます。治療に手術を必要とするため、発見が遅れると命に関わります。

認知症の症状が出ても、加齢のせいにして受診を先延ばしにする方も多いです。しかし、場合によっては取り返しのつかない結果になってしまうかもしれません。早期受診・早期発見が重要です。

認知症検査の内容

認知症の検査は、「神経心理学検査」と「脳画像検査」の2種類があります。

「脳画像検査」はCTやMRIなどで脳の画像を撮影し、脳の萎縮や脳血流の低下がないかを調べ、認知症の診断をします。「神経心理学検査」は簡単な質問に答えられるか、作業をこなせるか、確認する検査です。

代表的な検査には次のものがあります。

検査名 内容
HDS-R(長谷川式認知スケール) 年齢、見当識、3単語の即時記銘と遅延再生、計算、数字の逆唱、物品記銘、言語流暢性
MMSE(ミニメンタルステート検査) 時間の見当識、場所の見当識、3単語の即時再生と遅延再生、計算、物品呼称、文章復唱、3段階の口頭命令、書字命令、文章書字、図形模写
Mini-Cog 3語の即時再生と遅延再生と時計描画検査
MoCA 視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識

それぞれ点数で評価され、基準点より高いか、低いかで認知症の疑いがあるかどうかがわかります。

引用:『一般社団法人 日本老年医学会|認知機能の評価法と認知症の診断

検査の流れ

認知症の検査は、原則、次のような流れで行われます。

  • 問診
  • 面談、診察
  • 画像検査
  • 神経心理学検査

問診や診察では、認知症を検査する方や付き添うご家族に「これまでの経験」「普段の様子」などを確認します。認知症の方は症状の自覚がない場合がほとんどです。

そのため、家族から本人を客観的に見た情報が診察では重要視されます。できるのであれば、いつ症状に気づいたか、どんな症状が現れているかなどを整理して診察に臨みましょう。

そのあと、一般的な血圧測定、聴診などを行ったうえで、発語、聴力、手足の麻痺、歩行状態の確認を行います。そして、画像検査のCTやMRIで画像診断を行い体の状態を確認し、神経心理学検査にて認知機能の確認を行います。

検査の費用

認知症の検査費用は、受ける内容によって異なります。

神経心理学的検査は比較的安く受けられるものの、CTやMRIなどの検査は費用が高い傾向があります。おおよそ数千円〜2万円程かかるかもしれません。そこに薬代も加わります。

およその検査費用は次の通りです。

10割負担 3割負担 1割負担
CT 15,000円~ 4,500円~ 1,500円~
MRI 15,000円~ 4,500円~ 1,500円~
HDS-R 800円~ 240円~ 80円~
MMSE 800円~ 240円~ 80円~

認知症の検査を受ける時の費用は、健康保険料が適用されるものが一般的です。しかし、検査する内容によっては、適用外の場合があるため注意しましょう。

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認知症検査を受ける前の準備

認知症の検査には、連れ出すご家族も心の準備が必要です。「認知症」との診断が出たときに、ショックを受ける可能性もあります。

予め認知症がどういったものなのかを調べておくのも大切な準備の一つです。

そのほか、次の3点について準備をしておきましょう。

  • メモの習慣を身につけて伝え忘れのないようにする
  • これからの介護を想定する
  • 介護保険の利用などを検討する

それぞれについて解説します。

メモの習慣を身につけて伝え忘れのないようにする

問診や診察を受けるときに、認知症の疑いがある方の状況を詳しく伝える必要が有ります。

正確に伝えられるよう、日頃からメモの習慣をつけておきましょう。診察時に気になる出来事や疑問点なども含めて伝えることが大切です。

具体的には、次の内容についてメモしておくとよいでしょう。

  • 普段の生活の様子
  • いつごろから症状が出ているか
  • 症状のきっかけに覚えはあるか
  • 症状の進行がみられたか
  • 日常生活で支障が出ている場面
  • かかった経験のある病気
  • 日頃飲んでいる薬
  • 気になる出来事
  • 聞きたい疑問点

また、診察時の結果なども話を聞きながらメモを取ると、あとから見返せます。

これからの介護を想定する

認知症と診断されたら介護が必要となります。そのため事前に将来の介護について考える場を設けましょう。

まず考えるべきなのは、認知症を本人に告知するかしないかです。本人にも知る権利があり、知らせるべきとの意見も多いです。病気を自覚すると病状が安定する場合もあります。

しかし、告知には大きなショックがともないます。本人の性格によっては、深く落ち込み、精神的な不調につながるかもしれません。告知をするか否かは、本人の性格などを考慮しながら、家族で慎重に検討していきましょう。

そのほか、誰が介護をメインでするのか、自宅でそのまま介護をするのかなど具体的に想定することが大切です。また、介護には費用がかかるため、介護に関わる費用をどう工面するかなども検討しましょう。

地域包括支援センターの方に、市区町村でどのような介護サービスがあるのか確認すると、役立つ制度やサービスが見つかるかもしれません。

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介護保険の利用などを検討する

介護保険制度は、社会全体で介護が必要な方を支えるために作られた公的保険制度です​​。介護が必要な方に、その費用の一部を給付してくれます。

サービスを利用するために、地域包括支援センターや役所の窓口などで、「要介護認定」の申請をする必要が有ります。要介護認定とは、どれほど、介護のサービスを必要としているのかを判断するものです。

申請後、訪問調査と医師による診断書が提出され、どれくらい介護を必要としているのか審査が行われます。

介護が必要と診断された度合いによって、受けられるサービス量に変化が有ります。自宅に訪問し生活援助は身体介護を行う訪問介護、施設に日帰りで通う通所介護、短期間の宿泊ができる短期入所などのサービスを受けることが可能です。

自分たちの生活リズムや本人の状態によって、どのようなサービスを利用したいのか、どうしたら無理なく生活できるのかを検討しましょう。

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認知症検査を拒否された時の対処法

認知症の可能性がある方を検査に連れ出そうとするとき、素直に応じてくれないケースも少なくありません。

また、「自分は認知症じゃないから大丈夫だ」と抵抗され、トラブルへ発展するかもしれません。本人の気持ちを尊重し、無理やり連れ出さないよう注意が必要です。

病院にうまく誘う方法には、次のような方法があります。

  • 健康診断の一つだと提案する
  • 検査の重要性を信頼できる方に話してもらう
  • 福祉サービスなどへ協力を依頼する

それぞれについて解説します。

健康診断の一つだと提案する

認知症の検査と聞くと「自分は大丈夫だから」「行きたくない」と受診を嫌がるケースも少なくはありません。ストレートに誘ってしまうと、プライドが傷ついたり、「もし認知症だったら……」と恐怖心を抱いたりしてしまいます。誘い出すには工夫が必要です。

工夫の一つに「市から健康診断のお知らせが届いた」「脳の健康診断を受けよう」と提案する方法があります。認知症の検査には抵抗を感じる方でも、健康診断であれば受診してくれる可能性が高いです。

この際、認知症とは言わないよう注意しましょう。薬をもらう際も、認知症の薬とは言わず、脳の働きを助ける薬と説明して治療を開始できるケースもあります。

また、「自分も一緒に健康診断を受けるから、一緒に行こう」と誘い出すのも方法も効果的です。

検査の重要性を信頼できる方に話してもらう

認知症の検査に誘う際は、本人の気持ちを汲み取り、尊重する必要が有ります。しかし、家族がどれほどお願いしても受診には繋がらず、困ってしまうケースもあるかと思います。

そんなときは、本人が信頼を寄せている方に協力を仰いでみましょう。「仕方ない、この人のお願いなら行くか…」と病院受診につながる可能性があります。

親族、近所の方、医師など、その方によって信頼を寄せている方は違います。本人が聞く耳を持ってくれるような方を探しましょう。身近に思い当たる方がいない場合は、かかりつけ医にお願いしてもよいかもしれません。

福祉サービスなどへ協力を依頼する

家族だけではどうにもならない時は、地域包括支援センターの方に同行してもらうなど福祉サービスの利用を検討しましょう。かかりつけ医によっては、訪問診療などをしている場合があるので、そういった診察を利用するのも方法です。

また、認知症初期集中支援チームに対応を依頼する方法もあります。認知症初期集中支援チームとは、認知症が疑われる方や認知症の方、その家族を支援する専門家チームです。地域包括支援センターや病院などに配置されています。

認知症初期集中支援チームは、何度か訪問を行い、本人と信頼関係を築いたうえで、病院受診へつなげてくれます。時間はかかりますが、受診できる確率はかなり高いです。本

人の不安を傾聴し共感をしたうえで、「こころと体の健康チェック」と言う名目で受診につなげるケースもあります。

どういう流れでサービスを利用したらいいか分からないときは、認知症ケアパスを利用しましょう。心配事に対する相談先や、仲間と出会える場の情報の提供、支援やサービスの紹介の際に使用されるものです。

こちらも地域包括支援センターにあります。自分の住んでいる地域でどうすればサービスの利用ができるかなどがわかります。検査受診や活用できるサービスなどを確認しましょう。

参照:『厚生労働省|認知症に関する相談先
参照:『厚生労働省|認知症ケアパス
参照:『(参考)認知症初期集中支援チームについて – 厚生労働省

認知症検査を受けるべきタイミング

認知症と思われる症状がみられたら、できる限り早く受診しましょう。認知症により現れる代表的な症状は以下の通りです。

  • もの忘れが多くなる(記憶障害)
  • 時間や場所、人がわからなくなる(見当識障害)
  • 理解力や判断力が低下する
  • 仕事や家事ができなくなる(実行機能障害)
  • 言葉がわからない、出てこなくなる(言語障害)
  • 服を着れない、スプーンの使い方がわからない(失行)
  • 右もしくは左どちらかのものを認識できない(失認)

上記のような症状は認知症による直接的な認知機能の障害です。この認知機能障害によって引き起こされる二次的な症状も存在します。

  • 一人になると怖がったり寂しがったりする
  • 憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きものに興味を示さなくなる
  • 怒りっぽくなる
  • 誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)
  • 自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)
  • あてもなくうろうろと歩き回る(徘徊)
  • 眠れなくなってしまう

認知機能障害によって、日常生活で失敗が多くなったり、自分に違和感を感じ不安を覚えたりすると、精神的に不安定になります。

二次的な症状は、このような精神的な不調を原因に起きる症状です。

上記のいずれかの症状が強く現れたり、頻度が多かったりする場合は、早めに受診しましょう。

参照:『​​認知症|こころの病気を知る|メンタルヘルス – 厚生労働省

認知症検査を受けてこれからの生活を見つめるきっかけに!

高齢になり、物忘れがみられるようになったとしても、受診を躊躇う方は多くいます。しかし、認知症は早期発見、治療が重要です。慢性硬膜下血腫など、ほかの病気が隠れている場合もあります。

もし、すでに認知症の症状が現れているのであれば、できる限り早く検査を受けてもらいましょう。どうしても検査を嫌がるのであれば、地域包括支援センターの力を借りるのもよいかもしれません。その方にあった、病院への誘い方を模索していきましょう。

認知症検査を受けるべきタイミングっていつ?

認知症の症状を疑ったらすぐに検査を受けましょう。早期発見で、適切な治療を受けられるだけでなく、介護の流れなどを家族と相談できます。詳しくはこちらをご覧ください。

認知症検査の費用って高いの?

介護保険や医療保険を使えるため、簡単な認知テストであれば1000円ほどで受けられます。ただし、CTやMRIなどは、4000〜9000円程度かかるかもしれません。予め、受ける予定の病院などで費用がいくらかかるか確認してください。詳しくはこちらで解説しています。

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